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町田市 谷口動物病院 犬猫専門の病院です
脂肪肝
2010年04月02日 (金) | 編集 |
昨日とりあげた肝臓病のネコちゃんですが、病名は「肝リピドーシス」といいます。

「肝リピドーシス」というと聞きなれない言葉ですが、わかりやすく言うと「脂肪肝」のことです。

人間で「脂肪肝」というと、肥満とお酒の飲みすぎが原因だということです。
エネルギーの過剰摂取や、運動不足が原因で肝臓に脂肪が蓄積してしまうそうです。

今回のネコちゃんの「肝リピドーシス」はちょっと発生の仕方が異なります。

「肝リピドーシス」のキーワードは2つ。
「肥満」と「食欲不振」です。

「肝リピドーシス」は、もともと肥満傾向にあったネコちゃんが、何らかの原因で数日間の食欲不振に陥った時に発生することが多いのです。

食欲不振が続くと、外部からエネルギー供給が途絶えたネコちゃんの体内では、体に蓄積した内臓脂肪や皮下脂肪を分解してエネルギーに変えようとします。
体内の脂肪分は分解されて肝臓に集まってくるのですが、肥満傾向のネコちゃんではこの脂肪分が大量に集中することになります。
あまりに大量に集まった脂肪を、肝臓が処理しきれずに悲鳴をあげている状態が「肝リピドーシス」なのです。

脂肪が蓄積して膨れ上がった肝臓の内部では、細かな血管や構造が圧迫されてしまいます。
それによって肝障害が発生します。

急激に肝臓の機能が落ちるため、数日のうちに容体は悪化し、昨日お話したような「黄疸」も発生します。

黄疸 2

「肝リピドーシス」の治療法は、とにかく早急に体内のエネルギー不足を改善し、それ以上の肝臓へのダメージを防ぐこと。

「エネルギー不足からくる体内での脂肪代謝の異常」が原因ですので、まずは強制的に食物を与えて、体内のエネルギー不足を改善しなければなりません。

とはいっても、今回のネコちゃんは重度の歯周病から来る食欲不振(口が痛くて食べられない)がきっかけで「肝リピドーシス」に陥ってしまっているので、食べろと言って食べるわけがありません。

基本的に「肝リピドーシス」に陥ってしまった症例は、エネルギー不足を補えるほどの十分な食欲があることはほとんどありません。
ですので、胃にチューブを送り込んで、強制的に食事を与える必要があります。

チューブ

胃にチューブを挿入する方法はいくつかあるのですが、今回は鼻から挿入する方法を選択しました。

この方法ですと、全身麻酔を使用せずに挿入できるという利点があるのですが(おとなしい子なら)、細いチューブしか入れられないため、一度に与えられる食事の量が限られてしまいます。

重度の「肝リピドーシス」で、長期間の集中的な管理が必要な症例ではもっと太いチューブを挿入する必要があります。
その場合は全身麻酔をかけて、外科手術をおこなってチューブを挿入します。

今回のネコちゃんの症状なら、数日間チューブでサポートしてあげれば十分に回復するだろうと判断し、一番簡単な方法でチューブを設置しました。
ただ、これでも思うように回復しない場合は麻酔をかけて太いチューブを設置しなければなりません。

ダメージを負った肝臓そのものを劇的に回復させる治療法というのはありません。
ですので、肝臓を保護しつつ、十分な栄養を与え、あとは肝臓自身の自然の回復力に任せるしかありません。

幸い、今回のネコちゃんでは1週間程度の集中治療で無事に回復し、お家にお返しすることができました。
ただ、心配なのは食欲不振の原因となった歯周病は完治していないので、油断するとまた同じ症状を繰り返す危険があることです。

肝臓が悪いと・・・
2010年04月01日 (木) | 編集 |
肝臓が悪いと皮膚や白眼が黄色くなるって聞いたことありませんか?

黄疸(おうだん)という症状です。

黄疸 2

肝臓病で入院したネコちゃんですが、お腹の皮膚がうっすらと黄色く染まっているのがわかるでしょうか?

血液に含まれるビリルビンという色素によって黄色く染まります。

このビリルビンは、通常でも血液の中に含まれています。
ビリルビンの濃度は肝臓の働きによってコントロールされています。
肝臓が正常であれば、ビリルビンの量はごくわずかなので皮膚が黄色くなるようなことはありません。

ですが、肝臓病で肝臓の機能が低下すると、血液中のビリルビンが増加し、このように皮膚まで黄色くなってしまいます。

黄疸

左が肝臓病のネコちゃんの血液。右は正常なネコちゃんの血液です。

血液に含まれる水分が黄色く染まっています。(下半分の黒っぽい部分は血液細胞です)
この色素によって、皮膚や白眼などが黄色く染まるのです。

また、この色素はおしっこにも含まれるので、肝臓が悪いときには、真っ黄色のおしっこが出ることもあります。