町田市 谷口動物病院 犬猫専門の病院です
免疫介在性溶血性貧血 1
2013年09月02日 (月) | 編集 |
こちらは、ある貧血症例の、血液細胞の顕微鏡写真です。



突然のふらつきと、血尿を主訴に来院されました。



20130902tah01.jpg



ピンク~紫色の丸いのは、すべて「赤血球」です。



1~3の番号をふってありますが・・・



2番が正常な「赤血球」です。



1番も「赤血球」なのですが、こちらは「多染性赤血球」と呼んで区別します。正常なものよりも大型で、青っぽく染まるのが特徴です。




3番も「赤血球」ですが、こちらは「球状赤血球」と呼んで区別されます。
正常のものよりも、小さいのが特徴。




正常な「赤血球」以外に、多数の「球状赤血球」や「多染性赤血球」がみられた時は、「免疫介在性溶血性貧血(めんえきかいざいせいようけつせいひんけつ)」が疑われます。



「免疫介在性溶血性貧血」は、名前の通り、免疫機能の異常が関わって発生する、血液の病気です。



免疫機能の異常により、「赤血球」が血管内や血管外(脾臓など)で破壊される疾患で、この血液の破壊を「溶血(ようけつ)」と言います。



血液が急激に「溶血」し、重度の貧血を生じるため、ワンちゃんは急性の元気消失・食欲不振・ふらつきなどがみられます。



また、「溶血」した血液の色素が尿に排泄されるため、「血尿(血色素尿)」がみられることもあります。




「免疫介在性溶血性貧血」には「原発性」と「続発性」の二つのパターンがあります。



「原発性」は特定の犬種や血統に多く発生することから、遺伝の関与が示唆されています。



ちなみに、ダックスフンドやアメリカン・コッカー・スパニエル、ラブラドール、マルチーズなどなど、日本でも人気の犬種の多くが、「免疫介在性溶血性貧血」の好発品種として知られています。




「続発性」は、腫瘍疾患や寄生虫感染、薬物投与などによって誘発されると考えられています。




「免疫介在性溶血性貧血」は、症状の進行が非常に早く、また死亡率も高い疾患です。



手元の資料では、治療成功率は30~70%となっています。言い方を変えれば、30~70%の症例で治療が上手くいかない=死亡するということ。



別の報告では、約40%の症例が、診断から2カ月以内に死亡したというデータもあります。




治療には、ステロイド剤を中心とした免疫抑制剤を使用します。



つづく・・・