町田市 谷口動物病院 犬猫専門の病院です
無菌性結節性脂肪織炎を疑う症例 1
2013年08月19日 (月) | 編集 |
今年初めから通院していただいている、ある皮膚疾患の症例をご紹介いたします。



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こちら初診時の写真。


左後肢、かかとの所が赤く腫れあがり、中心部に1cm程度の穴が開いています。



当院にいらっしゃる前に、別の病院さんで治療を続けられていたのですが、何度縫合してもすぐに皮膚がちぎれて穴があいてしまうとのこと。



検査の結果、「無菌性結節性脂肪織炎」が疑われました。



「無菌性結節性脂肪織炎」は、ミニチュアダックスに多い、原因不明の炎症疾患です。



自己免疫機能の異常が関わっていると考えられている病気で、初めは皮膚の下にしこりができるくらいなのですが、進行するとご覧のように皮膚に穴があいてしまいます。



典型的な「無菌性結節性脂肪織炎」は、名前の通り脂肪組織に発生する炎症ですが、こちらのワンちゃんでは、炎症がアキレス腱までも侵しており、アキレス腱は断裂、歩行困難な状態になってしまっています。



この疾患は、自己免疫機能の異常が原因ですので、単に糸で縫い合わせるだけの治療では、炎症が治まらず、またすぐに穴があいてしまいます。




まずは、免疫抑制作用のあるお薬を投薬し、炎症反応を沈めることが最優先。



そこで、プレドニゾロン(ステロイド剤)を投与して、様子をみること4日間・・・



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穴の大きさは変わりませんが、ずいぶんと炎症が治まりました。



この時点で、皮膚を縫合するかどうか悩みましたが、長く炎症が続いた皮膚はフニャフニャに弱り切っており、縫合したとしても、すぐに裂けてしまうと判断し、「湿潤療法」で組織が再生するのを待つことにいたしました。


※湿潤療法を適用した過去の症例はこちら→click




「湿潤療法」では、欠損した皮下組織が盛り上がり、しっかりとした皮膚組織が再生するまでは2~6週間かかります。



特に、今回は単なる外傷ではなく、自己組織そのものが炎症を起こし、自壊してしまう状況。




なおかつ、「かかと」は、体の中でも特に体重の負荷や、皮膚の「つっぱり」といったストレスがかかりやすい部分ですから、通常よりもはるかに治りにくいことが予想されます。



それでも、「2~3カ月あれば治せるかな・・・」と判断し、治療を始めたのですが・・・




ところが、実際には、私の当初の予想を大きく上回る、困難な治療となってしまいました。



つづく・・・