町田市 谷口動物病院 犬猫専門の病院です
台湾での狂犬病発生について
2013年07月30日 (火) | 編集 |
あまりテレビなどでとりあげられていないようですが・・・




台湾で、7月16日に、死亡した野生のイタチアナグマが狂犬病であったと診断されました。




これは、非常に重要な意味を持っています。





台湾は、過去50年以上にわたって狂犬病の発生がなく、日本と同様に、世界に10地区しかない狂犬病清浄地域の一つとされていました。




地理的に身近な台湾で、狂犬病に罹患した動物が発見されたということは、日本にとっては無視できない重要な出来事なのです。




では、なぜ50年以上にわたって、発生のみられなかった狂犬病が、突如として発見されたのか・・・



厚生省の文書によると・・・


台湾は、1961年より狂犬病の発生がみられない、狂犬病清浄地域であった。


そして、防疫強化のため、長年にわたって犬とコウモリに対する狂犬病のモニタリングを続けていたが、2012年からは、そのモニタリングの範囲を野生動物全般に広げ、モニタリングの範囲を広げていたということです。


そんな中で、今年7月になって、野生のイタチアナグマから狂犬病が発見されたということのようです。
※狂犬病は犬に限らず、人を含むすべての哺乳類に感染します。



これが、何を意味するかというと・・・



今回新たに発見された狂犬病は、「台湾外から新たに侵入したというよりは、もともと台湾内の野生動物の中で隠れ潜んでいた狂犬病が、モニタリング範囲を広げたために見つかり始めた」ということだと私は考えます。




そして、同じことが日本でも起こりうるのではないか? ということが非常に心配されるのであります。



日本国内でも、台湾と同様に、人目につかない山奥の野生動物の体内に狂犬病ウイルスが潜んでおり、都市開発が進む中で、人社会にまた新たな流行が起きる可能性は0ではないと考えるのです。
※もちろん、過剰に心配し過ぎるのもよくないですが・・・




平成23年度の、日本国内で飼育されている犬における、狂犬病予防ワクチンの接種率は全国で約70%。



なかでも、台湾に最も地理的に近い沖縄は予防接種率51%と最低の数値となっています。



ところで、これらの数値は、飼育登録されている犬においての接種率です。


実際には飼育登録すらされていないワンちゃんがたくさんいますので(町田市内でも多くのワンちゃんが未登録のまま飼育されているのが実情です!)、実際の狂犬病予防注射の接種率は、さらに低くなると考えられます。



こういった事実を考えますと、日本でも、明日にでも狂犬病に感染した野生動物が見つかったり、最悪の場合、狂犬病に感染したワンちゃんが見つかる可能性だって決して低くはないと思うのであります。





よく、狂犬病予防接種の話題になると、



「日本には狂犬病(ウイルス)はいないんでしょ?ワクチン必要ないんじゃないの?」



と、おっしゃる飼い主様がいらっしゃいますが・・・それは大きな誤解であります。



今回の台湾での出来事をみると、それが良くお解りいただけると思います。



狂犬病は致死的な病気です。
※現代医学をもってしても、発症した場合有効な治療法はなく、死亡率は100%です。



すべての哺乳類が感染するため、一度流行してしまうと、撲滅することは非常に困難です。



だからこそ、今現在、狂犬病の発生・流行のみられない日本において、確実な予防対策をとっておくことが重要なのであります。