町田市 谷口動物病院 犬猫専門の病院です
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変性性脊髄症
2013年07月01日 (月) | 編集 |
さて、先日ご紹介したこちらのワンちゃん・・・




20130629tah01.jpg



前回は食道の機能不全ということでご紹介いたしましたが・・・




実は、このワンちゃんにはもう一つの神経異常がございます。




「変性性脊髄症」という、脊髄神経の病気です。

※変性性脊髄症について、くわしくはこちら⇒岐阜大学動物病院


数カ月から数年かけて、後ろ足の麻痺が徐々に進行していく病気で、ジャーマン・シェパード・ドッグに好発する疾患として1970年代に報告された病気です。




写真のワンちゃんでも、後ろ足が力なく伸ばされているのがお解りいただけると思います。




近年、日本ではウェルシュ・コーギーでこの「変性性脊髄症」と思われる症例が増えており、神経病学会でも注目されている病気であります。



写真のワンちゃんが、当院に初めていらっしゃったのは昨年の4月。




「2011年頃から、後ろ足を引きずって歩いている」ということで診察にいらっしゃいました。




当院にいらっしゃるまでは、「椎間板ヘルニア」の疑いということで、内科治療を続けていらしたのですが・・・



「椎間板ヘルニア」と「変性性脊髄症」は、とても似通った症状を示すので、診断が難しいことがあります。



この二つを鑑別するために役立つのが、痛みの症状が見られるかどうかと、麻痺が生じるまでの経過時間です。



「椎間板ヘルニア」では、突出した椎間板物質が脊髄神経を急激に「圧迫」するため、神経麻痺と共に、痛みの症状が認められるのが一般的。さらに、後ろ足が麻痺するほどの椎間板ヘルニアの場合は、症状の進行が早く、それこそ数時間から数日で後肢麻痺に陥ることがほとんどです。

脊髄神経を「電気コード」に例えると、「電気コード」がドアや家具にいきなり挟まれて、コードが物理的に傷んでしまった状態が「椎間板ヘルニア」だと想像してください。



一方、「変性性脊髄症」は、神経組織が徐々に「変性」していくため、痛みなどの目立った症状がないまま、初めは歩いているときに爪先を地面にするようになり、その後、徐々に足を引きずる、ふらつくようになるといった具合に麻痺が進行してくるのが特徴です。

これを「電気コード」に例えると、「電気コード」内の金属繊維が、徐々に劣化して電気を上手く通せなくなった状態が「変性性脊髄症」ということになります。





この病気の原因はよく解っておらず、一部の遺伝子の異常が関わっている可能性も示唆されていますが、いまだ決め手はないようです。




そのため、残念なことに、有効な治療法も見つかっていないのです。





神経の麻痺は、数年かけて前足や首の部分まで進行し、最終的には呼吸不全を起こし亡くなってしまうといわれています。



そのため、最終的には安楽死を選択せざるを得ないことも少なくないようです・・・