町田市 谷口動物病院 犬猫専門の病院です
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フィラリア(犬糸状虫症) 2
2013年06月27日 (木) | 編集 |
さて、体内侵入したフィラリアの幼虫は、筋肉内などで成長・脱皮を繰り返し、およそ4~6か月で成虫になります。




20120109(3).jpg
心臓に寄生したフィラリアの成虫。(ファイザー製薬パンフレットより)




成虫は、心臓のなかでも、「右心房」・「肺動脈」と呼ばれる部分に寄生します。



寄生したフィラリアは最大で16cmにも達します。



この巨大な寄生虫が、心臓内部や肺動脈を物理的に閉塞させたり、血管を刺激・傷害していきます。




これによって、心不全や呼吸障害の症状が発現するのです。



では、これをどうやって治療するか?



選択肢は2つ。



1:外科手術での摘出

重度感染例では、特殊な器具を首の静脈から挿入し、心臓内の寄生虫を物理的に取り出します。
そもそも、重度のフィラリア感染で心不全を起こしている状態ですので、麻酔の危険性も高く、また血管や心臓を損傷する危険も無視できません。



2:成虫駆除薬の投与

メラソルミンという、成虫を駆除するための薬を使用します。



飼い主様の中には、「もしフィラリアに感染しても、駆除する薬があるなら予防薬飲まなくてもいいじゃない」と思われる方もいらっしゃるかも知れません・・・



・・・が、実はこの治療、とっても大変な治療なのです。




まず、治療終了までにおよそ半年間かかります。
※米国犬糸状虫学会の推奨方法での治療。



さらに、フィラリアの成虫を駆除するといっても、心臓内・肺血管内で死んだ虫はどうなるかというと・・・



そのまま、肺血管に流れて行って血管を詰まらせます。



死亡したフィラリア成虫による、肺動脈塞栓です。



軽度の場合は、発熱や軽い発咳程度の症状ですが、重度の場合は呼吸困難で命にかかわる場合もあります。



そのため、駆虫薬を投与した後は、厳密な運動制限が必要とされており、特に、初回投与後の1カ月間はケージ内飼育など徹底した運動制限が必要とされています。



さらに、治療中半年間は、成虫駆除薬以外にも、新たなフィラリア感染を防ぐための通常のフィラリア予防薬の投与や、肺障害の副作用を抑えるための投薬など、費用もバカになりません。




そして、極めつけは、一度、フィラリア感染によって引き起こされた肺血管障害は、成虫を駆除しても回復しないということ。




つまり、一度でもフィラリア成虫が感染した場合、寄生数によって程度に差こそあれ、肺血管障害は一生残ってしまうということなのです。




だからこそ、フィラリア感染は、予防が大切!



「感染したって、成虫駆除薬で治療すればいいんでしょ?」



なんて間違った情報を信じないでくださいね!