町田市 谷口動物病院 犬猫専門の病院です
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僧帽弁逆流
2013年04月12日 (金) | 編集 |
4月から6月は狂犬病予防ワクチン接種のシーズンになります。



基本的に、健康なワンちゃんは、動物病院のお世話になるのは、狂犬病予防ワクチン、5種・8種混合ワクチン、フィラリア予防など、年に数回だけ。



当院では、そういった機会に、飼い主様が気がついていらっしゃらないような問題がないか、しっかりと身体検査をさせていただくようにしています。



こういった機会によく見つかる異常の一つに、心雑音があります。



高齢のワンちゃんでは、僧帽弁閉鎖不全症と呼ばれる心臓の弁膜疾患が多く発生します。



この、僧帽弁閉鎖不全症は、末期になると呼吸困難などの心不全症状が出てまいりますが、初期の頃は心雑音程度で、飼い主様が気がつかれるような明確な症状がないことがほとんど。


こういった初期の段階で、我々獣医師がしっかりと病気を見つけなければいけません。



先日も、狂犬病予防接種にいらしたワンちゃんで、心雑音が認められたため、心臓の詳しい検査をさせていただくことになりました。



20130412tah01.jpg
心臓の超音波画像。
左右は同じ画面ですが、右側は血流の様子をカラーで表示しています。

「僧帽弁」は、「左心房」から「左心室」へ流入する血流をコントロールする弁であります。

この画像は、僧帽弁が開いて、左心房から左心室に血液が流入する様子を表示しています。
※赤色が流入する血流を表しています。



20130412tah02.jpg
「左心房」から「左心室」に血液が流入した後は、僧帽弁が閉じて、血液の逆流を防ぐはずなのですが・・・

この画像では、「左心房」へ血液が逆流してしまっています。
※緑とか黄色でひときわ明るい部分が逆流する血液。



20130412tah03.jpg
逆流した血液は、左心房全体に勢いよく広がっていきます。

このときの逆流する血液のスピードは、なんと秒速5~6m!!

1秒で6メートル先まで届く水鉄砲の勢いをイメージしてみてください。

ワンちゃんの小さな心臓の内部で、そんな勢いで血液が逆流していると考えると、いかに心臓に大きな負担がかかっているか想像しやすいと思います。

※ちなみに、正常な血液の流入スピードは秒速1メートル前後。




心臓は、逆流する血液の負担を受け止めながら、徐々に拡張していきます。


20130412tah04.jpg
拡張した左心房。
正常な左心房の大きさは、大動脈と同じくらいの大きさであります。

この画像では、大動脈のおよそ2.5倍まで拡張しています。




実は、左心房は拡張することで、逆流によって上昇する内部圧力を緩和しているのです。



僧帽弁閉鎖不全症で、一番問題になるのが、逆流による左心房内圧の上昇。



左心房が拡張することで左心房内圧の上昇が緩和されるため、これだけの逆流が起こっていても目立った症状がでないのです。




ですが、心臓の拡張にも限界があります。


拡張が限界に近づき、左心房内圧の上昇を緩和しきれなくなった頃に、ようやく初めて飼い主様が気がつくような症状がでてくるのです。



これは、心臓が余力を使い果たした状態なのです。



どんな病気でもそうですが、大切なのは早期発見・早期治療。


心臓病も同じです。


余力を使い果たした状態で治療を始めるよりも、まだ余力があるうちに治療を始めたほうが、治療効果が高いのは当然です。



我々獣医師は、予防接種などの機会でも、しっかりと身体検査をおこない、飼い主様が気がつかれていないような体の異常サインを見逃さず、早期治療に役立てなければならないのです。