町田市 谷口動物病院 犬猫専門の病院です
発作疾患 4
2013年03月05日 (火) | 編集 |
思ったより長くなってしまいましたが、今回で最後にしたいと思います。



さて、「てんかん(特発性てんかん)」の治療であります。



「てんかん(特発性てんかん)」を治療するかどうかは、その発作のパターンと、発生頻度がカギになってきます。



発作パターンは、主なものは「部分発作(焦点性発作)」と「全般発作」の2パターンです。



「部分発作(焦点発作)」というのは、脳の一部分に過剰な興奮が起きた状態。

以前お話しした、チューイングガム発作(口をくちゃくちゃするだけの発作)などはこれにあたります。



「全般発作」というのは、脳の全体で過剰な興奮が起きた状態です。

白目をむいて、全身ガクガクブルブルといった発作がこれにあたります。
「全般発作」の場合は、呼吸に必要な筋肉もケイレンを起こすので、呼吸困難を起こす危険もあります。



次に、発作の頻度。



これは、単純に年に何回か? 月に何回か?という回数の問題と、発作の持続時間が問題にないります。



発作には、単発で終わるものがほとんどですが、中には一日の間に発作を起こしたり、おさまったりを数回繰り返すことがあります。

これを「群発発作」と言いいます。



また、それ以外に「発作重責」という発作があり、これは一回の発作が30分以上も続くような発作です。
これは非常に危険な状態。



放置すると、脳に深刻なダメージが及ぶ可能性があるので、緊急で治療をおこなう必要がある状態です。





こういったいくつかの要素を総合的に判断して、治療を開始するかどうかを見極めます。




たとえば、1~2分程度の「部分発作」を年に3~4回程度起こすくらいの症例であれば、治療をせずに様子を見ていくことができます。
※ただし、このケースでも、発作の持続時間が3分~5分と長くなるようだったり、発作の頻度が増えてくるようなら治療が必要になります。





次に、「全般発作」の場合は、1~2分の発作で、年に3~4回という症例でも、呼吸困難や、激しいケイレンによってケガ(階段から落ちる、舌を咬む、爪を傷めるetc)をする危険がありますので、なるべく早めに治療を開始したほうがよいと考えられます。




また「群発発作」や「発作重責」が起きた場合は、年に何回とか関係なく治療を開始するべきです。





治療には、「抗てんかん薬」というものを使用します。




脳の興奮を抑えるお薬で、鎮静剤や麻酔薬に似たような働きをするお薬です。これで、脳の過剰興奮を予防したり、治療するわけです。




そのため、必要以上に使ってしまうと、普段からボンヤリしてしまったり、足元がふらついたりという副作用が出ますので、「血中濃度の測定」をおこなって投与量が適切かを監視しなければなりません。




てんかん発作を起こした脳というのは、脳内に過剰な興奮が発生するため、発作が長時間に及んだり、何度も起こしていると、脳へのダメージが蓄積して症状が悪化する危険があります。




そのため、発作のパターンや、頻度をよく見極めて治療をすすめるべきかどうか判断しなければならないのです。





最後に、てんかん発作を起こしたワンちゃん・ネコちゃんに御自宅でなにをしてあげれるか?




まず必ずやっていただきたいのが、発作の様子の記録です。



専用の手帳やカレンダー等に、発作を起きた日や時間帯、発作の持続時間などを記録していただくことが、診療・治療を進めるうえで重要な情報になります。



また、携帯電話やデジカメの動画機能で様子を撮影していただくのも、とても有力な情報になります。



それと同時に、発作中のワンちゃん・ネコちゃんがケガをしないように、周辺の物をどけたり、落下の危険があるような場所であれば移動させてあげてください。




飼い主様の心情としては、抱っこして落ち着かせてあげたいと思われるでしょうが、部分発作ならともかく、全般発作を起こしている場合は、飼い主様が咬まれてしまったり、ひっかかれたりして怪我をする危険があるので、あまりお勧めできません。


また、せっかく動画に取っていただいても、抱っこした状態では、発作の様子を正確に観察できなくなってしまいます。



後は、ついつい心配で頭をなでたり、意識を回復させようと軽く叩いたり、大きな声で呼びかけたりしてしまうのもお勧めできません。



てんかん発作は脳に「過剰な興奮」が起きている状態ですので、それを悪化させるような刺激は避けた方がよいのです。



かわいいわが子が発作を起こしている際に、「冷静に記録を」と言われても難しいとは思いますが、「てんかん発作」は、診療をおこなうときにはおさまっていることがほとんどですから、御自宅で飼い主様がいかに正確に記録を残してくださるかが非常に重要になります。



自分も主治医の一人というつもりで、観察をしていただければと思います。