町田市 谷口動物病院 犬猫専門の病院です
耐性菌の問題
2012年11月06日 (火) | 編集 |
「耐性菌」という言葉。ときどきニュースなどで耳にされると思います。




正確には、「多剤耐性菌」と言います。



突然変異をおこし、多くの抗生物質に対して抵抗力をもってしまった細菌のことです。




人医療では、ずいぶんと以前から問題になっており、ニュース等でもとりあげられておりますが・・・




獣医療でも、近年問題になることが増えてきています。




特に、慢性化した外耳炎で耐性菌が検出されることが増えてきています。



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上の写真は、ある慢性外耳炎のワンちゃんの検査結果。





炎症を起こした耳から採取された細菌を検査所に送り、ワンちゃんで一般的に使用される10種類の抗生剤に対する反応を調べました。





結果、すべての抗生剤が無効。こうなってしまうと、完治は難しくなります。




抗生剤以外の洗浄治療や酵素剤を使用した治療などを根気よく続けて、少しでも症状が改善するのを期待するしかありません。




ワンちゃんでは外耳炎はよくある病気の一つですが、



①耳道内に発生した細菌を確実に治療するには最低でも1か月の投薬・点耳治療が必要。




②外耳炎をおこすワンちゃんは、もともとの耳の構造や、耳垢の分泌、体質(アトピーなど)といった要因によって、外耳炎を再発しやすい。






③耳道内は閉鎖的な環境のため、細菌などが繁殖しやすい。




④外耳炎が長期におよぶと、耳道内の皮膚が変形し穴が狭まってしまったり、分泌腺が増加するなどし、ますます細菌が増殖しやすい環境になってしまい、さらに外耳炎の長期化を招いてしまう。





こういったことから、外耳炎は常に慢性化する危険をはらんでおり、多剤耐性菌が発生するケースが増えてしまうのです。





慢性化し、多剤耐性菌が発生した外耳炎に対する有効な治療法はありません。





洗浄治療や酵素剤で姑息的に治療していくしかありませんし、場合によっては感染をおこした耳・外耳道を手術で「すべて切除」するなんて方法をとることもあります。




このように、一歩間違えれば非常に厄介なことになる外耳炎。




我々獣医師も、飼い主様も、「単に耳が痒いだけ」なんて思わずに、慎重に治療に臨む必要がある疾患なのです。