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町田市 谷口動物病院 犬猫専門の病院です
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パンツ君
2012年06月29日 (金) | 編集 |
現在入院中のノラ猫ちゃん。



20120629tah07.jpg




愛称「パンツ君」。





見ての通り、頭にパンツ・・・ではなくて包帯をしているからなのですが・・・






ケンカ傷であります。




20120629tah01.jpg
3週間前の状態。




男同士のプライドをかけた一戦の代償と思われます。




おそらく引っ搔かれたか、咬まれたかした傷がひどく膿んでしまって、皮膚が広範囲に欠損。




前にこんな子もいましたね→click




こんな傷は縫合しようがないので・・・




以前の症例同様に「湿潤療法」で治療いたします。
湿潤療法についてはこちらの先生が詳しく解説されております。





20120629tah02.jpg
治療開始から4日。化膿していた傷が綺麗になり、周辺から皮膚が収縮を始めました。
湿潤療法で治療した皮膚は、周辺部が中央に向かって収縮するように移動しながら傷がふさがっていきます。





20120629tah04.jpg
治療開始から8日。毛の生え際を見ると、周辺部の皮膚が中央部に移動しているのがよくわかります。




20120629tah06.jpg
治療開始から17日。ここまで来ると周辺部の皮膚の移動も限界に達します。そこから先は、新たに再生した皮膚が傷をおおっていきます。そのため、新たに再生した皮膚には毛が生えていません。




こういった傷口の治療法は、この10数年で大きく変化しております。




昔だったら、「毎日消毒し、乾いたガーゼで覆って、傷口を乾かして治す」なんてことが当たり前でしたが、現在ではそういった処置すべてが、傷口の速やかな修復を大いに妨げていると考えられています。



現在では、様々なドレッシング材(傷口が乾燥するのを防ぎ、組織の修復を促す)を使用し、傷口を乾かさず治す「湿潤療法」が主流となりつつあります。



私が獣医師になったのがおよそ10年前。




その頃は、まだ「湿潤療法」が獣医療に取り入れられ始めて間もない時代。




ですので、私も修業時代のはじめの1~2年は、旧来の治療法に近いことをやっていたこともあります。




その当時の治療法と、現在の「湿潤療法」を駆使した治療法での治療効果を比べると、差は歴然。





写真をご覧いただいてもわかるように、あれだけ膿んでしまって、大きくえぐれたようになっていた皮膚が見る見るうちにふさがっていきます。




ちなみに、現在のパンツ君の様子はこんな感じ・・・




20120629tah05.jpg




交通事故かなんかで重体?って感じですが、本人はちょ~リラックス♪