町田市 谷口動物病院 犬猫専門の病院です
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乳腺腫瘍について・・・
2012年03月25日 (日) | 編集 |
先日、乳腺腫瘍の症例をとりあげましたが・・・



それについてもう少し詳しいお話しであります。



201203221.jpg



ワンちゃんでは、他の動物に比べ乳腺腫瘍の発生率が高く、人の発生率の3倍との報告があるようです。


人間の女性でも、乳腺腫瘍というのは大きな問題でありますが、それ以上に、女の子のワンちゃんにとっては重要な問題になってきます。


腫瘍には、「悪性」のものと「良性」のものがあります。



「悪性」=「乳がん」ということになるのですが、ワンちゃんの乳腺腫瘍の50%が「悪性」であると報告されています。

さらに、「悪性」であった症例の50%で診断時にすでに転移が認められると報告されており、「乳腺腫瘍の50%ルール」などと呼ばれたりしています。


「悪性」の確率が50%というと、ずいぶんと高い気がしますが、私の今までの経験した症例では、良性と悪性の比率は6:4くらいで、幸いにも「良性」のほうが多く経験しています。


ところで、ネコちゃんにも当然、乳腺腫瘍が発生することがあります。


ワンちゃんに比べると、発生率は格段に低いのですが・・・


ただ、ネコちゃんの乳腺腫瘍は極めて悪性度が高いのが特徴。


80~90%以上の確率で悪性であるという報告があり、実際に私が今まで経験した症例も、すべて悪性でした。


再発や、転移も非常に多く、手術後1年以上生存することは難しいとされています。





さて、切除した腫瘍が「悪性」であった場合の、その後の経過は、腫瘍の大きさや、転移の有無によって変わってきます。


ステージ分類というものがあり、「腫瘍の大きさ」「リンパ節転移の有無」「遠隔転移(たとえば肺転移など)の有無」によって、ステージ1~4に分類します。


その分類ごとに、術後の余命のデータがあり・・・(注:ワンちゃんのデータです)


たとえば、ステージ1(腫瘍が3cm未満の大きさで、転移が認められない)症例では、外科切除さえ行えば、98%近くの症例が術後2年以上生存するというデータがありますが・・・


一方で、ステージ4(肺転移がある症例)では1年生存率が15%以下とされています。



上記のデータはネコちゃんには当てはまらず、ネコちゃんでは腫瘍の大きさが2cm以下のものであれば、切除後数年生存するケースも報告されていますが、3cmを超える腫瘍の場合は、ほとんどが術後の余命が数カ月となってしまいます。



乳腺腫瘍の発生については、まだ原因不明の部分も多いのですが、女性ホルモンが大きく関わっていると考えられています。


実際に、ワンちゃん・ネコちゃんでは、早期の避妊手術で乳腺腫瘍が予防できることがデータとして出ておりまして、ワンちゃんでは初回発情前に避妊手術をしておくと、乳腺腫瘍になる危険を1/200まで減らせることができるといわれています。


ネコちゃんでは、もともとの乳がんの発生が少ないこともあって、ワンちゃんほどの高い効果はないようですが、それでも1/10程度にまで危険性を下げることができるとされています。


人間では、乳がん予防のために避妊手術というのはあり得ない考えですが、伴侶動物として一代限りの寿命をともに過ごすワンちゃん・ネコちゃんであれば、不用意な妊娠を防ぐ意味も兼ねて、早期の避妊手術というのは生命に関わる病気のリスク回避ということで非常に有効な手立てになります。