町田市 谷口動物病院 犬猫専門の病院です
胸に水がたまる
2012年03月16日 (金) | 編集 |
先日、天皇陛下が心臓バイパス手術後に、「胸に水がたまったために、それを除去する」というニュースがございましたね。


「胸に水がたまる」もしくは、「肺に水がたまる」ということがあります。


どちらも、同じ意味に聞こえますが・・・



実際にはこんな違いがあります。


20120316 (4)

「肺に水がたまる」のは「肺水腫(はいすいしゅ)」

「胸に水がたまる」のは「胸水(きょうすい)」


症状としては、どちらも呼吸困難をおこします。


「肺水腫」では、空気を取り込む風船の内部に水がたまった状態。

空気を取り込むスペースがなくなり、肺のガス交換が上手くいかなくなって呼吸困難に陥ります。


一方、「胸水」では、空気を取り込むスペースそのもには問題はありませんが、その周りに水が溜まってしまった状態。

これでは、風船(肺)が膨らむことができず、結果的にガス交換ができなくて呼吸困難におちいります。

天皇陛下の「胸に水がたまる」はこっちの「胸水」のほうです。


「肺水腫」と「胸水」はレントゲンや、超音波検査で比較的簡単に区別がつきます。


どちらも、原因となる疾患が共通しており・・・


心臓病、肺腫瘍、感染症などが一般的。


ただ、実際の診療現場で遭遇する「胸水」や「肺水腫」の7~8割は、心臓病が原因のように思います。


心臓病におちいると、心臓のポンプ機能が低下し、全身の血流が滞るようになります。


血流が滞った血管からは、血液中の水分が漏れ出てしまい、それが肺の中にたまれば「肺水腫」となり、胸の中にたまれば「胸水」になるわけです。

腫瘍が原因の場合は、腫瘍組織による炎症反応によって、周辺組織に水がたまるわけですが、それが肺の中なら「肺水腫」、胸の中なら「胸水」といった具合です。


したがって、「肺水腫」・「胸水」のいずれにせよ、治療法はほぼ同じ。
まずは原因となる疾患を治療することになります。



ただ、唯一、決定的に違うのが、「胸水」は物理的に内部の液体を除去することができるということです。


つづく・・・