町田市 谷口動物病院 犬猫専門の病院です
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口が開かない?? 2
2012年03月09日 (金) | 編集 |
さて、「咀嚼筋炎」を疑い、大学に送ったワンちゃんですが・・・



20120210.jpg
アゴの筋肉がこわばって、お口が開きません。



大学でも、やはり一番に「咀嚼筋炎」が疑われるということで、血液検査をおこなうことになりました。


全身麻酔を必要とするような検査は、血液検査で上手く診断がつかなかったときに考慮するということでした。


ただ、その検査がアメリカの検査機関に依頼する必要があるため、結果が出るまでに2週間近くかかるとのこと。


その間、無治療のままでは、筋炎が進行し、アゴの硬直がさらに悪化する恐れがあります。


前回も書きましたが、「咀嚼筋炎」は免疫機能の異常が原因と考えられており、その治療には「免疫抑制剤」を使用することになります。


ただ、このお薬を正確な診断が下る前に使用してしまうと、後々に再検査や別検査が必要になった時に、正確な診断の妨げとなってしまうのです。


つまり、血液検査で上手く診断がつかない場合は、筋肉を一部切除して検査し「実際に筋炎が起きている」ことを確認する必要があるのですが、免疫抑制剤を先に使ってしまうと、筋炎が「治まってしまう」ために、後々に検査をしても正確な診断が出なくなってしまうのです。


ここが非常に悩みどころ。


「免疫抑制剤」という、ある程度副作用もあるお薬を長期間つかっていくことを考慮すれば正確な診断を優先すべきですが、これ以上、筋肉の委縮を進行させてしまうと、治療薬を使用したとしても開口障害が改善しなくなる恐れがあります。


正確な診断・治療を優先すべきか、それとも正確な診断はあきらめ、症状のコントロールを優先するか・・・


ここは、「極めて咀嚼筋炎の疑いが強く、これ以上の症状の進行も好ましくない」と判断し、治療を優先することになりました。


血液検査の結果を待つことなく、「免疫抑制剤」の投与がはじまりました。


結果、ワンちゃんのアゴの動きは改善されつつあるのですが、残念ながら血液検査では診断がつきませんでした。


となると、次は筋肉を一部切除して検査することになるのですが、そのためには一度、投与中の免疫抑制剤を中止して、症状が再発(つまり再び筋炎が起こった状態)にしてからでなければ正確な判断ができません。


これもまた悩みどころになります。


「せっかく良くなったのにまた再発させるの??」ということになってしまいます。


ここでも、「正確な診断」を優先させるか、「症状のコントロール」を優先させるかで飼い主様と大学で話し合いがもたれました。


その結果、「正確な診断」のために、症状を悪化させたり、全身麻酔をかけてアゴの筋肉を採取したりするよりは、副作用が許容範囲内ならこのまま「症状のコントロール」を優先させたいという飼い主様のご意向にそった治療をおこなうことになりました。


獣医師サイドとしては、「病気について正確に知りたい」という欲求が常にあるものですが、それ以上にまず優先させるべきは「ワンちゃん・ネコちゃんの健康・生活にとって何が一番重要か?」ということ。


私にとっても「咀嚼筋炎」を疑う症例は初めてでしたので、「正確な診断結果」を望んでいたのですが、「正確な診断はつきましたが、アゴの動きは治らないまま」ではお話になりませんからね。


町田市 谷口動物病院