町田市 谷口動物病院 犬猫専門の病院です
  • 07«
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5
  • 6
  • 7
  • 8
  • 9
  • 10
  • 11
  • 12
  • 13
  • 14
  • 15
  • 16
  • 17
  • 18
  • 19
  • 20
  • 21
  • 22
  • 23
  • 24
  • 25
  • 26
  • 27
  • 28
  • 29
  • 30
  • 31
  • »09
口が開かない??  1
2012年03月08日 (木) | 編集 |
今日ご紹介する症例は、昨年末から2月にかけて、大学病院と連携して診断した症例でございます。



そもそもの始まりは、昨年12月末に「昼ごろから急に元気が無くて、ぐったりしている」とのことで来院されました。


身体検査で39.8度と発熱がみられたものの、それ以外には明らかな異常は見られませんでした。


念のために血液検査をしたところ、炎症に関わる数値の上昇が認められたため、抗生物質と消炎剤で治療をおこないました。


この時点では、「目に見える部分に明らかな炎症は見当たらないものの、何らかの原因による炎症・発熱による食欲不振」と診断。経過観察としました。


その後、投薬から数日で元通り元気になったということで安心をしていたのですが・・・



それから2週間ほどして、また症状が再発。

今度は、「なんだか口が上手く開かないみたい・・・」とのこと。


こちらのワンちゃん、もともとちょっと病院嫌いで、診察しようとすると嫌がって咬みつこうとしてきてしまうのですが・・・


どうも、その咬みついてくる口も上手く開かない様子。


ただ、詳しく調べようにも咬みつこうとして動き回ってしまうため、ちょっとかわいそうですが看護師さんにしっかりと押さえてもらって、お口に点滴チューブをかけて口を開きます。


私だってできれば咬まれたくないですからね~


20120210.jpg


ちょっとわかりにくいかもしれませんが、上あごと下あごに点滴のチューブを引っかけて、それでお口を上下に引っ張っているところです。


かなりの力で引っ張っているのですが、お口がまったく開きません。


がっちりとこわばった状態です。


ただ、判断が難しいのが、もともと診療を嫌がるワンちゃんなので、「お口が開かない」のか、歯を食いしばって「お口を開けない」のかが微妙なところ。


とはいえ、御自宅でもご飯を食べる時も上手くお口が開かないということでしたし、ワンワン吠える時も口を開けずに吠えているということでしたから、これはやはり開口障害があると判断するべきでしょう。



このような症状で一番に疑われる病気の一つに、咀嚼筋炎(そしゃくきんえん)という病気がございます。


免疫機能の異常でおこる病気と考えられており、自分自身の筋肉組織が炎症をおこしてしまう疾患です。


「咀嚼筋炎」では主に「咀嚼」に関わる筋肉群、つまりアゴ周りの筋肉が侵されます。


アゴを動かす際に痛みが生じたり、重度の症例では、筋肉が委縮(固くこわばって動かなくなる)してしまって、完全に口が動かせなくなってしまいます。


おそらく12月末の発熱と炎症反応はこれが原因だったのでしょう。
一時的に投薬で症状が治まったものの、それから少しづつ進行してきたようです。


もし「咀嚼筋炎」であった場合、「免疫抑制作用」のあるお薬を長期間にわたって投与する必要があります。



ある程度の有害作用もあるお薬になりますので、正確な診断をしたうえで投与を始めなければいけません。
(ちなみに、12月末に投与したタイプのお薬では、痛みを押さえることはできますが、症状の進行を抑えることができません)


この病気を診断するためには、特殊な血液検査が必要になったり(国内では測定不可)、筋肉組織を一部切除して検査したりする必要があります。


また、「咀嚼筋炎」以外にも、顎関節の異常の有無などを詳しく調べなければいけませんので、全身麻酔下での検査や、CT撮影なども考慮しなければなりません。



「咀嚼筋炎」であった場合は、治療を早くおこなうことができればアゴの機能は回復しますが、治療が遅れて完全に筋肉が委縮してしまうと、その機能が回復することは非常に難しくなります。


そのため、飼い主様と相談に、早急に大学病院と連携して診断を進めることにいたしました。

つづく・・・


町田市 谷口動物病院