町田市 谷口動物病院 犬猫専門の病院です
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会陰ヘルニア ①
2012年02月13日 (月) | 編集 |
こちら、1月に手術をした症例。


20120213.jpg

お尻の左側がポッコリと膨らんでいます。

以前にもとりあげたことがあるのですが、「会陰ヘルニア」という病気です。


お尻と骨盤の間を隔てる壁になっている複数の筋肉が弱体化し、それによって内臓脂肪や腸、膀胱などがお尻側に飛び出てきてしまう(いわゆる脱腸)病気です。


ヘルニア 3
以前の症例の使いまわしですが・・・


症例のほとんど(95%)が雄犬で、かつ去勢手術をしていない雄犬に多く発生するとされており、男性ホルモンの影響が疑われています。

最近では若いうちに去勢手術をすませているワンちゃんが多いため、それ程目にする疾患ではありません。


これを治療するには外科手術しかありません。

いろいろと術式はありますが、お尻と骨盤内を隔てる「壁」を再建することで治療します。


主に二つの方法に分類されます。

① 弱体化した筋肉群と、その周辺の筋肉を縫い合わせることで、「壁」を再建する方法。

この方法は、後述する人工物を使用する方法にくらべ、感染症などの危険性が低いものの、弱体化した筋肉を縫い合わせるため、再建した「壁」に再び穴があいてしまい、再発する可能性があります。
また、周辺の筋肉を引き寄せるために、強い力がかかり、血行障害などを引き起こす恐れもあるとされています。

この方法は、手術者の熟練度によってかなり差が出る術式で、ある報告では再発率が当初40%だったものが、術者の熟練度によって20%程度まで改善したということです。


② シリコンプレート等の素材を用いて、人工的な「壁」を埋め込む方法。

この方法は手術法が単純で、手術時間を短くすることができ、筋肉を無理やり縫合する必要が無いので、手術部位に過剰な力がかからなくてすみます。
手術法が単純なため、術者の熟練度による差も少ないようです。

ただし、こういった人工物を使用した場合、感染症をおこしてしまうと、人工物を除去しない限り完治しないため、再度の摘出手術が必要になるというデメリットがあります。


それぞれ一長一短ではありますが、感染症に対しての対策さえしっかりしておけば、②のほうが再発率も低いというデータもありますので、私はこちらの方法を採用しています。

感染症に対しての備えとしては、まずは手術前に徹底的に洗浄をおこなうこと。

20120213 (3)


なんせお尻周りの手術ですので、メスを入れる前にいかに清潔な状態にするかが肝心。


手術室に入る前に数回シャンプーをおこなって、肛門周辺の汚れを徹底的に落とします。

さらに、手術直前の消毒も、通常の手術よりも回数を増やして念入りにおこない、手術中に要所要所で手術器具を新しいものに交換したり、手術用手袋を新品にかえることで感染の可能性できる限り低くします。


つづく・・・