町田市 谷口動物病院 犬猫専門の病院です
僧帽弁閉鎖不全症の進行
2012年01月24日 (火) | 編集 |
昨年の春から治療・経過観察を続けている僧帽弁閉鎖不全症のワンちゃんの超音波画像。



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僧帽弁閉鎖不全症というのは、小型犬で非常に多くみられる心臓病。

心臓の上下の部屋(左心房と左心室)を隔てる僧帽弁が変形することで、血液の逆流が発生してしまう病気。詳しくはこちら→click


このワンちゃんでは、僧帽弁自体は薄くシャープな形状を保っているのですが、弁の一部が左心房側に折れ曲がってしまっています。


これによって、弁の合わせ目が合わなくなってしまい、左心室から左心房に向かって血液の逆流が起きてしまっています。


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血液の流れに色を付けた超音波画像。赤や青、黄色といった血流を表す「カラー」が左心房側に逆流している様子がわかります。



僧帽弁閉鎖不全症は、内科治療をおこなうことが一般的。
外科手術で弁の閉鎖を改善する方法もありますが、費用、実施施設などの面でハードルが高く、まだまだ一般的とはいえない状況。

血管拡張剤や、心筋保護薬などを組み合わせて、症状をコントロールしながら、病気と上手く付き合っていくことになります。

したがって、完治することはなく、治療をしたとしても徐々に進行していくものなのです。



上記の写真は昨年の3月の検査時のものなのですが・・・



その8ヶ月後には・・・


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僧帽弁の変形がかなり進行しています。
本来は、薄っぺらい膜状の構造をしているのですが、ボコボコと厚みを持った構造に変形してしまっています。

これでは、ピッタリと閉じることがますます難しくなります。


実際に、逆流する血液も増えてしまっています。


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逆流を表す「カラー」部分が大きく広がっています。




映像的にはかなりの進行なのですが、ワンちゃん自身の症状はほとんど変化がありません。


これは、心臓の能力にはもともと大きな予備能力があるからなのです。


その予備能力の範囲内であれば、病状が進行してもほとんど症状は見られません。


ただし、その予備能力を超えたが最後、呼吸困難などの心不全症状が見られ始めるのです。


ですので、心臓病をしっかりと治療管理するためには、超音波検査・レントゲン・心電図を組み合わせた定期的な検査が欠かせないのです。


特に超音波検査が重要。今回の症例ではレントゲンや心電図ではまだ大きな変化がなく、唯一、超音波検査でこの悪化をとらえることができたのです。

これが、超音波検査をすることなく、レントゲンや心電図で異常が認められてからの治療では後手後手に回ってしまいます。

このワンちゃんも、逆流の進行に合わせてお薬の処方を変更いたしました。