町田市 谷口動物病院 犬猫専門の病院です
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白内障
2012年01月12日 (木) | 編集 |
先日診療したワンちゃんの目の写真です。



20120112.jpg


オレンジに輝いて見える部分が「水晶体」。
眼のレンズの役割をする部分です。



下半分が白っぽく濁ってしまっています。



「白内障」です。



このワンちゃんは、まだ3歳。
若年性の白内障です。


写真は左目ですが、まだ初期の状態。


この状態であれば、視力も正常と思われますし、普通に眼を見たくらいではレンズのにごりはわかりません。


このワンちゃんを最後に私が診察したのは1年以上前。
その時には眼には異常はありませんでしたが、この1年~1年半の間に進行したようです。


右目はもっと進行した状態。完全に真っ白です。
今後も、急速に悪化する恐れがあるので、慎重な経過観察が必要です。



20120112 (2)



白内障の根本的な治療は、人間同様に外科手術。


特殊な機材・設備が必要な手術ですので、大学病院等に御紹介することになります。


人間の場合は、ほとんどの人が手術をうけられると思いますが、ワンちゃんでは白内障で手術までおこなうのは、まだまだ少数派。


一つには、寿命の問題。

白内障になったのがある程度高齢になってからで、進行も緩やかであれば、完全に失明することなく寿命を迎える可能性が高いということ。人間は白内障になってからも、あと数十年の寿命がありますが、ワンちゃんでは数年~10年程度が一般的。
その寿命と、白内障の進行度合いのバランスを考える必要があります。


次に、ワンちゃんにとって、白内障が「生活の質」にどれだけ悪影響を及ぼすかという問題。
人間なら、「本も読みたい」「テレビも見たい」「車の運転が必要」「仕事がある」など様々な理由で、視力の維持というのは「生活の質」に欠かせない要素です。
ですが、ワンちゃんの場合は、人間ほど視力の維持が重要にはならないと考えられます。
(実際、本人にとってどうなのかは不明ですが・・・)
晩年に、視力に多少の障害がでたとしても、完全な失明でなければ、元気に食べてお散歩に行くという基本的な活動は十分に維持されることがほとんど。
場合によっては、完全に失明していても、そうとわからないくらい活発に活動する子もいます。


最後に、飼い主様が点眼薬の投与などの術後の管理をしっかりできるかという問題。

これがネックになることが結構多いです。
根本的な「しつけ」の問題になってしまうのですが、そもそも飼い主様に目や耳を触らせない。
目薬をさそうとするとおこって咬みつく。
といったワンちゃんが非常に多いのです。


実は写真のワンちゃんもそうなんです。


獣医師に対しては、それなりに暴れますが、まあ診察もかろうじてできるし、眼薬もなんとかさせる状態。
ですが、飼い主様に対してはもっとひどく、目薬を差そうとすると咬みついてきてしまうようです。


こんな状態では、仮に手術したとしても、満足に術後管理ができるわけがなく、最悪、失明などの重大な副作用をおこすことさえありまえます。


このワンちゃんの場合は、若齢性の白内障で、進行も早いことが予測されますので、本来なら外科手術での根本治療も視野に入れるべき症例ですが、ちょっとそれは現状では非現実的。


白内障の進行を遅らせる作用が期待される点眼薬というのもあり、老齢性の白内障ではそれを使用しながら経過観察することが多いのですが、目薬を差させてくれないようなワンちゃんでは、それすらもできません。


白内障の治療の前に、まず「しつけ」の問題を解決しなければならないのです。


眼の病気、耳の病気の治療のためには、点眼薬・点耳薬が必要になるのは当たり前。


ですが、この当たり前のことができないワンちゃんが非常に多いのです。


小さいときからの基本的な「しつけ」もそうですし、飼い主様とワンちゃんとの間にしっかりとした信頼関係を日ごろから築いておくことが大切です。

今回のワンちゃんでは、まずは抗酸化作用のあるサプリメント(白内障に効果があるかもしれない)を投与しつつ、根本的なしつけの見直し(問題行動治療の専門家の受診も検討していただきつつ)をしながら経過観察となりました。