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町田市 谷口動物病院 犬猫専門の病院です
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脳疾患 ②
2011年11月08日 (火) | 編集 |
さて、原因不明の食欲不振で経過観察をしていたネコちゃんですが・・・


一般的な治療に対しての反応が悪く、脳神経の異常の疑いがでてきました。



脳神経の異常というと、視覚異常、聴覚異常、発作、手足のまひなど様々な障害が出るのですが、自覚症状を訴えることのできないワンちゃん、ネコちゃんでは正確な病状をつかむのが難しいのが実情です。


高齢のワンちゃん・ネコちゃんの脳神経疾患では、脳腫瘍が原因になることが多いのですが、最終的にはMRI検査のような特殊検査で調べる必要があります。


ただ、MRI検査は大学病院等の特殊な検査施設での検査が必要ですし、何より、検査には全身麻酔が必要なので、「疑わしいから、ちょっと見てみましょう」という気軽な検査ではありません。


ですので、もう少し情報を集めて、本当に脳神経疾患かどうか診断を絞り込む必要があります。


そんなときに重要な検査が「神経学的検査」。


P1010076 (2)


写真は、「獣医神経病研究会」という専門医の先生方が提案している神経学的検査の検査表です。


これに従って、脳神経・脊髄神経系のチェックを進めていくことで、かなりの部分まで神経異常の位置を絞り込むことができます。


項目数はかなり多いのですが、これらの神経学的検査を一つ一つ調べて、どの部分に異常が出るかを診断していきます。


それによって、神経病変が脳内のどの部位にあるのかということが絞り込めます。


20111107.jpg


これは私が独自に作成した、「病変の位置決めマップ」。


これと神経学的検査の結果を照らし合わせることで、どの部分の神経に異常が出ているのかが容易に判断できます(もちろん上手くいかないことも中にはありますが・・・)。



この検査で病変の位置を絞り込み、そのうえで必要性を判断しMRI検査などを進めていくことになります。



今回のネコちゃんでは、病変の正確な位置の絞り込みは困難だったのですが、脳腫瘍の可能性が極めて高く、大学病院での精密検査が勧められる状態でした。


ですが、すでに病状が進行しており、全身麻酔のリスクや、仮に脳腫瘍だったとしてその後の治療の可能性などを総合的に飼い主様とご相談させていただいた結果、これ以上の積極的な検査・治療は進めず、当院で可能な限りの緩和治療をおこなうこととしました。


ただ、残念なことに、このネコちゃんは初診から2週間程度で脳神経症状が急激に進行してしまい、飼い主様と相談した結果、それ以上の延命措置はおこなわずに看取ることとなりました。


初めに飼い主様が「様子がおかしい」とお気づきになられてから、たった1カ月半のことでした。


そして、明確な脳神経症状が認められてからは1週間程度のことでした。


きっと、ネコちゃん自身が自覚症状を訴えることができれば、もっと早くに診断ができたのかもしれません。


あらためて、脳神経症状の早期発見の難しさを思い知らされた症例でした。


改めて、このネコちゃんのご冥福をお祈りいたします。