町田市 谷口動物病院 犬猫専門の病院です
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肺動脈弁狭窄症 ②
2011年10月27日 (木) | 編集 |
さて、超音波検査で肺動脈内のモザイク血流を確認し、「肺動脈弁狭窄症」の診断が下ったら、今度はその重症度を判定します。


20111025PS.jpg



「肺動脈弁狭窄症」で最も問題になるのは、肺動脈弁に狭窄があることで、その手前にある右心室に大きな負荷がかかることです。



水鉄砲をイメージしていただくと解ると思うのですが、出口の穴が小さければ小さいほど、大きな押す力(圧力)が必要になります。


この出口が肺動脈(弁)であり、押す力は右心室が生み出しています。


20111025心臓



つまり、狭窄がひどい(=出口が小さい)ほど右心室に圧力の負荷がかかり、結果として心不全をおこしてしまうのです。


逆に、それ程狭窄がひどくない症例では、右心室への圧力負荷も最小限のため、大きな問題をおこさないこともあります。


重症度を判断するには右心室内の圧力がどのくらいかを測定すればよいのですが、直接右心室内の圧力を測定するには、全身麻酔をかけて特殊な管(カテーテル)を血管から心臓まで挿入しなければなりません。


すべての症例でそんな大変なことはやってられませんので(うちにそんな設備もありませんし)、ここではもっと簡易的な方法でおこないます。


超音波検査で、肺動脈内の血液のスピードを測定するのです。


つまり、「狭窄がひどい(水鉄砲の出口が小さい)→右心室の圧力が高まる(押し出すのに強い力が必要)→血流のスピードが上がる」ということから、血流のスピードを測定することで間接的に右心室の圧力を推し量ろうというわけです。


20111027流速



で、測定した結果が上の写真。


丸で囲ったように、この症例の肺動脈での血流スピードは秒速2.3m。


正常な肺動脈での血流速度は秒速1m前後。正常の倍以上ということになりますが・・・


ただ、この数値は「肺動脈狭窄症」としては極めて軽度の数値。注意深い経過観察は必要ですが、基本的に無治療で問題のないレベルでした。


一般的に血流スピードが秒速3.5~5mが中程度、秒速5m以上が重症とされています。


治療の基本は外科治療。


最近では人間同様に心臓カテーテル技術が発達し、太ももや首の血管からカテーテルという細い管を心臓の中まで通し、そのカテーテルによって狭窄部位を拡張するという方法がとられています。(超小型犬など血管が細く、カテーテルが入らないもあります)


カテーテルの先端にバルーン(風船)がついているのですが、これを狭窄部位で膨らませることで狭窄部を広げるという方法です。


こういう治療法を発想した人の発想力ってすごいですよね。