町田市 谷口動物病院 犬猫専門の病院です
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心房破裂 ④
2011年06月13日 (月) | 編集 |
さて、無事に「心タンポナーデ」の状態から回復したワンちゃん。



20110607.jpg



この出血性の「心膜液」の原因を探ります。


出血性の「心膜液」の原因として考えられるのは、先日もお話した通り・・・


「心臓腫瘍」か「心房破裂」か。



「心臓腫瘍」は、「右心房」か「大動脈周辺」にできることが一般的。



超音波検査で詳しく調べるわけですが、この症例については心臓腫瘍はなさそうです。



そうすると「心房破裂」??



このワンちゃん、実は生後数か月の時点から「僧帽弁閉鎖不全症」と診断されていたそう。


治療が必要となるほどの症状が無かったため、無治療のまま経過観察していたそうですが、どうもこの「僧帽弁閉鎖不全症」の悪化で「心房破裂」をおこした模様。



20110607st4.jpg


心臓の超音波画像。


左側は、左右の心房の大きさを比較しています。
「僧帽弁閉鎖不全症」をおこしている「左心房」側は、右心房の倍の大きさに膨らんでいます。


右側は、赤い色は左心房から左心室に向かう正常な血流をあらわし、青い部分は逆流をおこした血流をあらわします。


正常な心臓では、血液は常に一方向に流れるのですが、「僧帽弁閉鎖不全症」になると、血液の逆流が生じます。



この逆流する血液。秒速5~6mもの勢いで逆流し、左心房の壁を押し広げます。


この秒速5~6mの逆流。5歳児の握りこぶしくらいの大きさの心臓の中で、「ビューッ!」と5~6m一気に噴き出すような水鉄砲を一分間に140回くらいのペースで365日毎日撃ちまくっている様子を想像してみてください。



この状態が何年も続くことで、「左心房」は大きく膨れ上がり、弱り切った「左心房の壁」が破裂してしまうのです。


「心房破裂」が起こると、噴出した血液は心臓の表面を覆う「心膜」の間に溜まります。

そのおかげで、一定量以上の出血は起こりませんが、今回の症例のように「心タンポナーデ」をおこしてしまいます。



今回のチワワちゃん。


なんとか一命は取り留めたものの、この先、またいつ心房破裂をおこすか心配な状況が続きます。