町田市 谷口動物病院 犬猫専門の病院です
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心房破裂 ①
2011年06月07日 (火) | 編集 |
先週の日曜日に来院された急患のワンちゃん。



今年7歳になるチワワちゃんで、生後3カ月の時点で心雑音(おそらく先天的な弁の異常)を指摘されていたそうです。



今まで特に症状は無かったため、投薬などはしていなかったそうですが、5月の中頃から急に症状がではじめたとのこと。



心臓の周りに液体が貯留する「心膜液貯留」をおこしていると診断されたものの、注射針での液体除去にはリスクが伴うため、飲み薬での治療をうけていたそうです。

ひとまずは症状は落ち着いていたようですが、5月29日の朝になって、さらに状態が悪化したとのことで当院に御連絡をいただきました。


電話口では、すでにワンちゃんはぐったりと横になって呼吸困難をおこしている様子。


どうやら、心臓の周りにたまった「心膜液」が心臓を圧迫することで急激に心不全に陥る「心タンポナーデ」をおこしているようです。



こうなると、早急に心臓周囲の液体を除去するしか救命する手立てはありません。



ただネックになるのが、今回御連絡いただいた患者様は、車で1時間はかかる距離。



「心タンポナーデ」をおこしている状態では長距離の移動のストレスが命取りになる可能性もあります。



移動中に亡くなってしまう可能性も御考慮いただいた上で、当院にご来院いただくことになりました。



1時間半ほどして、到着したワンちゃんを診ると、お電話いただいた時よりは呼吸状態が落ち着いているようです。



無事の御到着に一安心しつつ、超音波検査で心臓の状態を確認すると・・・



20110607胸水



たしかに「心膜液」が貯留し、心臓を圧迫しています。


ただ、その心膜液の外側にもう一層、液体の貯留した部分があります。


こちらは「胸水」です。


「心膜液」は心臓と、心臓を包む心膜の間に貯留する液体ですが、「胸水」は胸腔(心臓や肺を納めるスペース)と肺の間に貯留する液体です。


「胸水」は心不全の症状の一つなのですが、「胸水」が貯留すると、肺が圧迫されてしまい呼吸困難をおこします。


どうやら、心タンポナーデによる急性の心不全から胸水貯留が起こったようです。



心タンポナーデを治療するには貯留した「心膜液」を除去しなければいけませんが、それより先に、この胸水を除去しなければいけなくなりました。


といっても、「胸水」の除去はそれ程難しい処置ではありません。



酸素吸入で呼吸を確保しつつ、胸に針を刺して液体を抜いていきます。



20110607ks.jpg


抜けました。


およそ150mlの胸水。


たったこれだけですが、体重3kgのチワワちゃんの胸にとっては大変な量です。


さて、これで呼吸状態は少し改善されましたので、続いて心膜液を抜きます。


ですが、今度は心臓から数ミリの位置に針を刺さなければいけないので、胸水を抜くときよりも繊細な作業になります。


つづく