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町田市 谷口動物病院 犬猫専門の病院です
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巨大食道
2011年01月25日 (火) | 編集 |
昨日、一昨日とレントゲンの話題をとりあげましたが、その時に例として挙げた症例について、少し詳しくお話します。

巨大食道
巨大食道

巨大食道とは、何らかの原因により、食道に通過障害や運動障害が発生して引き起こされる疾患です。

通過障害の場合は、単純に異物による閉塞や、腫瘍による食道の圧迫などが考えられます。

食道の運動障害の場合は、ホルモンバランスの異常や、脳神経の障害、神経・筋肉の伝達異常など様々な疾患が原因になります。

写真の症例は、脳腫瘍によって、食道の運動をつかさどる神経が圧迫されたために、食道の運動性が低下し、巨大食道になっていました。

20110125
MRI画像。丸で囲んだ白っぽい部分が腫瘍。

当院では確定診断が下せず、川崎の日本動物高度医療センターに診察を依頼した症例です。

巨大食道では「吐出(としゅつ)」という症状がみられます。

食道に通過障害、もしくは運動障害があるため、ご飯を食べても胃まで通過せず、食道の途中に食物がとどまります。

その食物が逆流してきて吐きだされるのが「吐出」です。

「嘔吐(おうと)」とは違い、食物は胃の中まで達していないため、胃液を含みません。
また、「嘔吐」の場合は、腹部が痙攣して苦しそうに吐きだすのに対し、「吐出」の場合は、腹部の痙攣は普通は認められません。

食道内にとどまっていた食物が、唾液のような粘液とともに、「デロ?」という感じで口の中に逆流してきます。

巨大食道で最も問題になるのが、「誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)」です。
食物を飲込む機能が低下してしまうため、誤って肺のほうに食べ物が入り込んでしまい、肺炎を起こすのです。
多くの症例が、この「誤嚥性肺炎」によって命を落としてしまいます。

巨大食道の治療法は、原因によって様々ですが、きれいさっぱりに治るということはあまりなく、生涯にわたって治療と、誤嚥性肺炎を防ぐための看護が必要になってきます。

あまり診ることのない症例ですが、食べ物の飲込み具合がおかしかったり、食後にいつの間にか食物を吐き戻しているような症状があったら要注意です。