町田市 谷口動物病院 犬猫専門の病院です
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大動脈逆流
2010年08月14日 (土) | 編集 |
さて、心不全で急きょ入院したネコちゃんですが・・・

なんとが体調が安定してきたので、超音波検査で詳しく心臓の状態を調べました。

心膜液貯留の経過確認と、心臓の正確な状況確認です。

心臓を超音波検査で詳しく調べるには、最低でも30?40分かかります。
麻酔などは必要ないのですが、検査の間、ずっと横に寝かせて押さえていなければなりません。
そのため、心不全で状態の悪い動物では、かえってストレスをかけて病状を悪化させる恐れがあるために、ある程度状態が落ち着いてからでなければ危険なのです。

ネコちゃんの状態が急変しないか注意深く観察しながら検査を進めます。

大動脈逆流

「心膜液」のあらたな貯留はありませんでしたが・・・

大動脈での血液逆流が見つかりました。
「大動脈逆流」です。

黄色い矢印で示した青い色が、大動脈から逆流する血液の流れです。

本来は、血液は「左心室」から「大動脈」に一方通行で流れます。
「大動脈」に流れた血流は、全身の動脈に行き渡り、体中に血液を運ぶことになります。

「大動脈逆流」が起きてしまうと、全身に行き渡るはずの血液が逆流してしまうため、全身の様々な部位で血液が不足してしまい、心不全症状がでてしまいます。

このネコちゃんの場合は、慢性腎臓病に併発した高血圧が「大動脈逆流」の原因です。

腎臓はたくさんの血管が網目のように張り巡らされた臓器なのですが、慢性腎臓病になるとこの血管網での血流が悪くなってしまいます。
結果、腎臓の血管網の血圧が上がり、最終的には全身の血圧まで高くなっていきます。

そして、心臓内部の圧力よりも高血圧の圧力が大きくなると、心臓から送り出したはずの血液が、圧力に負けて心臓にもどってきてしまうのです。

慢性腎臓病は完治させる方法はありませんので、心不全の治療をおこないつつ、血圧をコントロールし、なおかつ腎臓病の治療もしていかなければなりません。

このまま落ち着いていれば、あと数日でお家にお返しできそうです。
ただ、今回の急激な「心膜液」の貯留については「大動脈逆流」だけではちょっと腑に落ちない部分もあるのですが・・・
ちょっと完全に解明するのは難しそうです・・・

動物医療で難しいのは、大抵の検査・治療が後手に回ることです。

このネコちゃんも当院に来た時にはすでに慢性腎臓病が進行した状態でしたので、腎臓にしても心臓にしてもすでに病気になってから時間が経過しているため、原因を探るのが難しいのです。

人間ではだいぶ人間ドックが定着してきましたが、ワンちゃん・ネコちゃんでも元気なうちから定期的に検診を受けていただいておくことが大切です。