町田市 谷口動物病院 犬猫専門の病院です
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停留睾丸
2010年06月15日 (火) | 編集 |
ワンちゃんの生まれついての奇形の一つに「停留睾丸(ていりゅうこうがん)」というものがあります。

人間でもそうですが、睾丸というのは初めはお腹の中で発生して、胎児の成長・出生にしたがって下腹部の陰のう内に下降してまいります。

ワンちゃんでは正常であれば生後1?2か月以内には陰のう内に下降していなければなりません。

これが、何らかの理由により陰のう内にたどり着けず、お腹の中や陰のうの手前の皮膚の下などにとどまってしまうことを「停留睾丸」と呼びます。

小型犬での発症が多い傾向があり、大型犬に比べて2?3倍リスクが高いといわれています。

私が今まで経験した症例も9割が小型犬です。

遺伝が関わっていると考えられており、「停留睾丸」になったワンちゃんというのは基本的には繁殖に使用しないほうが良いとされています。
ちなみに「停留睾丸」でも、片方が陰のう内に正常に降りてきていれば赤ちゃんを作ることは可能です。

また「停留睾丸」は精巣腫瘍の危険性が、正常な睾丸の10倍以上ともいわれているので、なおさら手術がすすめられます。

停留睾丸

この症例は一つは陰のう内に正常に位置しており、もう一つは陰のうの少し手前の皮膚の下に位置しています。
○で囲んだあたりの皮膚が少し膨らんでいるのがわかるでしょうか?

この症例は、触診では「停留睾丸」の位置がはっきりと触れなかったため、事前に超音波検査で確認をしています。

「停留睾丸」は皮膚の下まで出てきているのと、お腹の中に残っているのでは術式がまったく違うので事前にしっかりと場所を把握しておく必要があります。

停留睾丸 エコー像

左側が皮膚の下にある「停留睾丸」、右が正常な位置にある(つまり陰のう内)睾丸の超音波像。
「停留睾丸」のほうが正常なものより2回りほど小さいのがわかるでしょうか。
そのために、触診ではハッキリとはわかりませんでした。

お腹の中に残っている「停留睾丸」の場合は、お腹を開いて睾丸を探さなければなりませんが、今回のように皮膚の下にある場合は皮膚に切れ目さえ入れれば取り出すことができます。

特に今回の症例はかなり陰のうの近くまで降りてきていたので、通常の去勢手術とほぼ同様の術式でおこなうことができました。

停留睾丸 (2)

左側が「停留睾丸」です。
やはり正常のものよりも小さめです。

人間では「停留睾丸」を正常な位置に手術で下降させるという方法もあるようです。

動物医療の場合は、繁殖の目的がない場合は切除してしまったほうがが精巣腫瘍などの危険ものぞけますし、繁殖についても通常は勧められません(遺伝性疾患の疑いがあるため)。

そもそも私の知る限り、外科の教科書にも術式は紹介されていないので、やりようがありません。