町田市 谷口動物病院 犬猫専門の病院です
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歯周病
2009年09月28日 (月) | 編集 |
歯科処置をおこなった12歳のビーグル犬です。

重度の歯周炎(歯の周囲におこる炎症)のため、クリーニングと同時に抜歯処置をおこないました。

左上顎

○で囲んだ部分を見ていただくと、歯ぐきがなくなって、歯の根っこが見えてしまっているのがわかると思います。
また、この露出した歯根に歯石が付着して茶色く汚れてしまっています。
重度の歯周炎により、歯の根っこを覆っているはずの歯ぐきの肉やアゴの骨(歯槽骨)がとけてしまった状態です。
この歯は抜歯が必要です。


分割

奥歯は根っこが二股に分かれているため、そのままでは抜けません。
まずはドリルで分割して・・・

分割後抜歯

抜けました。
残り半分もこのあと抜歯します。
大きな穴が開きますので、この部分は歯ぐきを整形して縫い合わせます。


左下顎臼歯

続いて左下顎の奥歯。
○で囲んだ真っ黒になった部分が歯周病を起こした部分。
上述の歯と同じように、歯ぐきもアゴの骨も一部が消失しています。

左下顎臼歯 抜歯

こちらも二分割してから抜歯します。
抜歯した根っこの汚れがわかるでしょうか。
真黒に汚れ、灰色の膿がくっついてきています。
こんなものがアゴの骨に入り込んでいるのです。
この歯周病の毒素やバイ菌はアゴの骨や周囲の血管を通して体内に入り込み、肝臓や腎臓・心臓などの大切な臓器にも悪影響を及ぼします。

歯周病の怖さはここにあります。
歯だけの問題ではないのです。


歯周ポケット1

こちらは右下顎の奥歯。
歯石クリーニングをした後で、一見するときれいに見えますが・・・
(歯ぐきが黒いのはもともとの色素です)

歯周ポケット2

手にもった器具(歯周プローブ)が奥歯の横にズボッと深くはいってます。
これは、歯周病によって奥歯の根っこの部分に隙間ができていることを示しています。

歯根(歯の根っこ)はアゴの骨に1cm?1.5cmほどの深さまではまり込んでいます。
歯根とアゴの骨は靭帯で隙間なくつながっているので、通常は歯周プローブがこのように刺さることはあり得ません。
上述の写真のように歯周プローブが1cm近く刺さるということは、この奥歯の根っこの大部分がダメになってしまっているということです。

この歯も放置しておけば1?2年後には上述の歯のような歯周病に進行していきます。

この歯は早めに抜歯したほうが良いかもしれませんが、本人の年齢や、麻酔時間(クリーニング・抜歯・抜歯後の縫合処置などトータルで2時間半かかっています)を考えて、この歯は抜歯をせずにできる範囲の歯周病治療としました。

12歳という年齢と、一般的なビーグル犬の寿命を考えれば、今回麻酔時間を延長して抜歯するよりも、今後、飼い主様に歯磨きなど日常の歯のケアを頑張っていただいて、この歯周病の進行をなるべく遅らすほうが本人への負担は軽いと考えます。

もちろん、この歯の歯周病は少しづつ進行しますが、上手く管理すれば、寿命をまっとうするまで症状をコントロールできると判断しました。


抜歯した歯

抜歯した歯です。
黄色の斜線はアゴの骨をあらわしています。
根っこがどれだけ深くアゴの骨に根を張っているかがわかると思います。
そして、その根っこが真黒に汚れているのも・・・


このように、歯の治療というのは実際には麻酔時間も長く、アゴの骨を削ったりするような立派な外科処置になります。(今回も、抜歯した部分を整形して縫い合わせるために、アゴの骨を若干削っています)
人間とは違い、自分自身で歯を磨くことのない動物の歯周病というのは、症例によっては想像を絶するひどさです。
ひどい時には歯周病で弱ったアゴの骨が骨折(自然に)してしまい、アゴがグラグラになっていることもあります。

こういった歯周病は、飼主様の日常の努力(歯ミガキ)で大部分を防ぐことができます。
毎日の歯磨きはなかなか大変ですが、週に2?3回でも良いので、できる限り日常的に歯磨きに取り組んでいただければと思います。