町田市 谷口動物病院 犬猫専門の病院です
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猫のエイズ
2009年07月24日 (金) | 編集 |
昨日、「口内炎がひどくて、半年間治療しているが治らない」ということで雑種のネコちゃん(男の子・6歳)がいらっしゃいました。

ネコちゃんは口内炎に悩まされることが多いのですが、6歳という若さで、しかも治療を受けているにもかかわらず半年も患うというのは単純な口内炎ではなさそうです。

口の中を診てみると、確かに歯石で汚れてはいますが、口内炎をひどく起こすほどの状態ではありません。
しかし、口の中はひどい口内炎で腫れあがっています。
ご飯を食べたいのに、いたくて食べれない状態です。

これは単純な歯の汚れなどからくる口内炎ではなさそうです。

お話を伺うと、最近は外には出さないが、何年か前まではある程度自由に外出しており、喧嘩をして帰ってくることもあったとのこと。

このような症例で可能性が高いのは猫のエイズです。
さっそく検査キットで血液検査をしてみると・・・

検査キット

青い丸が二つ出ているのがわかるでしょうか。
中央とその左下に丸がでたら猫エイズと判定します。

猫エイズはFIVとも呼ばれ、「猫免疫不全ウィルス」の感染が原因になります。(人に感染したりはしません)

あるデータによると日本国内のネコちゃんの10%程度に感染が見られるとされています。
感染の可能性が高いのは、自由に外出できるネコちゃんで、特に喧嘩の機会が多い男の子に多いとされています。

感染は喧嘩で咬んだり・咬まれたりして感染することがほとんどで、ちょっとした毛づくろいなどでの接触で感染することはほとんどないようです。

ですので、ペットショップなどで購入してからずっと室内飼育だったようなネコちゃんでは、脱走して喧嘩でもしてこない限り心配はいりません。

ただ、自由に外出している子や、もともと野良猫だったような子では感染の可能性があります。

猫エイズに感染すると、はじめは「無症状キャリア期」と呼ばれる、ウィルスには感染しているが、なにも症状が出ない時期があります。
この時期は、検査をすればエイズに感染していることはわかりますが、見た目には全く普通の健康なネコちゃんと変わりません。

その後、一定の期間を経て(数か月?数年)、「ARC(エイズ関連症候群)期」に移行します。
この時期は体内の免疫力の変調により、慢性かつ難治性の口内炎や鼻炎、結膜炎、下痢などを患うようになります。

今回のネコちゃんはまさしくこの状態です。
エイズウィルスの影響で、体内の免疫力がおかしくなり、口内炎を発症しています。
この場合、問題なのは口内炎ではなく、エイズに感染していることです。
「エイズは治る病気ではない=エイズに感染することで引き起こされる口内炎は治らない」ということです。
ただ、完治させることはできませんが、お薬で炎症を抑えてあげて、ある程度は楽にしてあげることができます。

AIDS(後天性免疫不全症候群)期にまで進行すると、免疫力が低下して貧血がひどくなり、体重が落ち、リンパ腫などのガンにかかりやすくなり、命を落とすことになります。

猫エイズは不治の病ですが、予防はそれほど難しくありません。
外に出さなければいいだけです。(エイズに感染している可能性のある野良猫・外ネコとの接触を避ける)

ネコちゃんを自由に外に出してあげられないのはかわいそうな気もするかもしれませんが、エイズは非常に苦しみの大きい病気です。
また、エイズ以外にも交通事故や、その他の伝染病のリスクを考えると、ペットとして長生きしてほしいと考えるなら完全室内飼育が望ましいでしょう。