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町田市 谷口動物病院 犬猫専門の病院です
健康診断で見つかった僧帽弁閉鎖不全症の一例
2019年01月11日 (金) | 編集 |
町田市 相模原市 動物病院 谷口動物病院




昨年のわんにゃんドックで「心雑音」が見つかったワンちゃん。



9歳になったばかりの男の子です。



まだ明らかな症状はないようでしたが、日を改めて心臓の精密検査です。



ワンちゃんの心雑音の原因は、「僧帽弁閉鎖不全症」であることがほとんど。



心臓内で血流をコントロールする「僧帽弁」が劣化し、弁が「閉鎖不全」を起こす病気です。


弁が上手く働かなくなることで、心臓内の血流に不具合が生じ、「心拡大」や「循環不全」といった問題が出てきます。


病状を正確に把握するには超音波検査が欠かせません。



20190111tah01.jpg


「左室流入血流速波形」。


「僧帽弁閉鎖不全症」の重症度を評価するのに欠かせない検査です。


黄色〇で囲んだ部分の数値(1.31)が測定値。


正常値は1.0前後。僧帽弁閉鎖不全症が重症化するほどこの数値は高くなります。


1.31という数値はそこそこ悪い状態。


この数値が高い状態では、肺に負担がかかり、「肺水腫」という状態に陥りやすくなっていると考えられます。


改めて飼主様に確認すると、「そういえば、最近になって咳をすることが増えてきたかも・・・」


とのこと。これは怪しいですね。


20190111tah02.jpg


こちらは「心拡大」の程度を調べている画像です。


まるで囲った部分、1.87となっていますが、正常では1.0~1.6程度です。


この数値が大きいということは、「心拡大」が起きているという事。


これも「僧帽弁閉鎖不全症」の重症度を評価する一つの指標になります。


これらの計測値と、「最近咳が増えてきた」といいう飼主様のお話から、この症例は一見すると元気そうに見えましたが、治療を開始するべき状態と判断。


内服薬での治療を開始しました。
(僧帽弁閉鎖不全症の治療は内服薬での治療が中心になります)



治療開始後の検査値。


20190111tah03.jpg




20190111tah04.jpg



「左室流入血流速波形」も「心拡大」の指標も改善しているのがわかりますね。


飼主様のお話では、投薬を始めてから咳もでなくなり、散歩も以前よりも元気に行くようになったということでした。


おそらく、本人は息苦しさや運動時の疲れなどの症状を感じていたのでしょうね。


「僧帽弁閉鎖不全症」は命にかかわる疾患ですが、ほとんどの症例で明確に「心雑音」が聴取されるため、一般的な健康診断で早期発見が容易な疾患です。


高齢期の小型犬では、20~30%近くのワンちゃんが発症するとも言われています。


一見元気なように見えても、定期的な健康診断を受けていただくことが大切ですね。



町田市 相模原市 動物病院 谷口動物病院