町田市 谷口動物病院 犬猫専門の病院です
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あれ・・・心臓が?
2009年06月13日 (土) | 編集 |
右胸心?

先日わんにゃんドックで撮影しました。
左右のレントゲンを見比べてみてください。
右側のレントゲンが正常なレントゲンです。

心臓の傾きが違っているのがわかりますか?
レントゲンの右側が動物にとっての左なのですが、通常、心臓は胸の真ん中で左に傾くように位置しています。

しかし、左のレントゲンは、心臓は真中で右に(画面の左側)傾いて位置しています。
一瞬、「レントゲンの裏表間違えてみているのかな?」と思いましたが、胃の位置や盲腸の位置からすると間違いありません。

このように心臓が右に傾いていることを「右胸心」と呼びます。
「右胸心」には先天性(生まれつき)のものと後天性のものがあり、先天性のものは「逆位」とも呼び、生まれつき内臓が左右反転して(すべての内臓もしくはその一部)生まれてくるそうです。

人間でも5000人?10000人に1人の確率でみられるそうで、単純に内臓が左右逆転しているだけなら健康には問題ないそうです。
ただ、中には左右反転するだけではなく、心臓や血管に奇形を伴うことがあり、そのようなときは手術等の治療が必要になるそうです。

後天性の「右胸心」は、肺の虚脱(心臓は左右の肺に挟まれているので、右の肺がしぼんでしまえばそちらに傾きます)や、周辺に腫瘍ができたりして物理的に押されることで発症します。

今回の症例では、肺に異常はないですし、心臓の位置を変えるような物理的な問題も見つかりませんので、生まれつき心臓が右に傾いているようです。

私も初めて見ました

この「逆位」に関しては、何百ページもあるような内科の本にも記載がなく、700ページもある循環器の専門書にかろうじて20行ほどの記載があるのみでした
手持ちのレントゲンの専門書にも「右胸心」の画像は載ってませんので、比較することもできません。

ですので、発生率は? 間違いなく「右胸心」なのか?
詳しいところは今の段階ではなんともわかりません。
いくつか論文を調べてみましたが、まだはっきりとしたものは見つけられていません。
ですので、ここで自信を持って皆様に読んでいただけるほどのことは書けませんが・・・
ま、参考までにということで。

超音波検査で心臓の構造や、腹部内臓器の精査をしたところ、それらには異常な見られなかったので、心臓の傾きがおかしいだけで日常生活には支障はなさそうです。
その他、この「逆位」の症例では呼吸器に問題が出ることがあるそうですが、そういったこともないようです。

ところで、このワンちゃん数年前に去勢手術をされているのですが、その時には特に麻酔前の検査としてレントゲンや心電図はされなかったそうです。
ですので、心臓の位置に異常があることがわからないまま手術をおこなっています。

幸い、心臓機能の異常はなかったからよかったものの、もし心臓機能に異常があったとしたら・・・

やはり、麻酔前のレントゲンや心電図は必須ですね。
心臓の異常は聴診や、身体検査である程までは推測できますが、全身麻酔をおこなうにはそれだけではやはり不十分ではないでしょうか。
万が一があってはいけませんからね。

当院では、健康なワンちゃん・ネコちゃんの避妊・去勢手術でも、麻酔の安全確保のためにすべての症例で麻酔前の血液検査とレントゲン・心電図検査をおこなっております。

飼主様の中には、去勢手術・避妊手術をどの病院で受けるかを費用で決められる方もいらっしゃるようですが、安いには安いなりの、高いには高いなりの理由があるはずです。

値段を聞いて手術の予約を入れる前に、その値段には何が含まれるのかぜひ一度ご確認を・・・