町田市 谷口動物病院 犬猫専門の病院です
歯周病治療 Sちゃんのケース
2017年08月07日 (月) | 編集 |
歯周病治療をおこなったダックスのSちゃんです。


別の病院さんで昨年の11月に歯石クリーニングをおこなったばかりということですが、複数の歯がグラつき、すでに歯石の付着も重度。


歯槽膿漏も進行してしまっています。


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特に、前歯に比べて奥歯の歯石付着と歯槽膿漏の進行が重度です。


もともと、奥歯は唾液腺の位置関係から歯石が付着しやすい部分ですが・・・


それにしても、昨年11月に歯科処置してから1年も経過しないうちにずいぶんとひどい状態になっています。



さらに…一見するとそれほど汚れていないように見えた犬歯の部分ですが・・・



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洗浄処置をすると鼻から大量の鼻血が・・・


口腔鼻腔瘻(こうくうびくうろう)です。


昨年11月に歯石を除去しているので、一見するときれいな歯に見えますが、実際には歯周病が進行しており、犬歯歯根周囲の組織が壊死を起こしてしまっているのです。(1枚目の写真をよく見ると、犬歯の根元の歯肉が赤くはれて炎症を起こしているのが分かります。)


犬歯歯根のすぐそばには鼻腔があります。犬歯歯根周囲の歯周病が進行すると、鼻腔と犬歯歯根の間にある骨組織が壊死を起こし、穴が開いてしまうのです。


それが口腔鼻腔瘻。


鼻の孔と口の中がつながった状態になっているのです。そのため、犬歯周辺を洗浄した際の洗浄水と血液が鼻腔に混入して、鼻血のように流れて出てきているのです。


この犬歯も抜かなければなりません。



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犬歯を抜いた後には大きな穴がぽっかりと。


犬歯の歯根はとても太く、頑丈なため、抜歯には歯肉の切開や歯槽骨の切削など外科的な処置が必要になります。


抜いた後に血がたまっていますが、この奥は鼻の穴まで貫通してしまっています。


この大きな穴を塞ぐには、歯肉だけでは塞ぎきれませんので、頬粘膜を移植して塞ぎます。


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この処置をしっかりと行わないと、口腔鼻腔瘻がふさがらずに残ってしまうのです。


歯科処置で大切なのは、歯石を取り除いて「みた目をきれいにする」ことではなく、しっかりと歯周病の進行具合を把握し、歯周病に的を絞った治療を行うことなのです。