町田市 谷口動物病院 犬猫専門の病院です
  • 05«
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5
  • 6
  • 7
  • 8
  • 9
  • 10
  • 11
  • 12
  • 13
  • 14
  • 15
  • 16
  • 17
  • 18
  • 19
  • 20
  • 21
  • 22
  • 23
  • 24
  • 25
  • 26
  • 27
  • 28
  • 29
  • 30
  • »07
消化管内異物
2017年02月03日 (金) | 編集 |
数日前から吐き気が続いている・・・


と言うことでいらっしゃったワンちゃん。



まだ3歳と比較的若く、内臓疾患などは考えにくい年齢です。



このように、比較的若い年齢のワンちゃんで吐き気が続く場合は、消化管内異物の可能性を考慮しなければなりません。



さっそくレントゲンを撮ってみると・・・


20180203tah012.jpg
黒く見える部分は消化管内のガス



背骨の左側にどうも不自然な形の消化管ガスが・・・



他の部分の消化管内ガスと違って、なんだか長方形に見えるような・・・



この位置は、小腸から盲腸につながる部分で、消化管内異物が詰まりやすい部分です。これはどうもアヤシイ・・・



そこで、超音波検査で確認です。



20180203tah02.jpg



う~ん・・・やはり、あやしい。なんだか四角い人工物のように見えます。



とはいえ、これだけを根拠に開腹手術に臨むには心もとないので、造影剤を投与して再度レントゲン撮影。



20180203tah032.jpg



造影剤を投与して数時間後。



やはり、人工的な異物のようです。思った通り、小腸から盲腸につながる部分に閉塞しているようです。



症状が数日前から出ていることと、初めのレントゲン撮影から5~6時間たっても移動していない事からすると、この異物が自然に排泄される可能性は極めて低いと考えられます。


自然排出の可能性にかけて様子を見ることもできますが・・・


閉塞が長期にわたると、その部分の消化管に血流不全が生じ、壊死を起こす危険があります。


最悪の場合、致死的な腹膜炎を起こす可能性もあるのです。


今回の症例は、症状の発現からすでに数日が経過していますので、これ以上様子を見るのは危険と判断。



開腹手術を行うこととしました・・・


・・・


・・・のですが・・・



手術直前に最終確認のレントゲン撮影を行ったところ・・・



20180203tah042.jpg



なんと、検査開始から何時間たっても全く移動しなかった異物が、スルリと盲腸をこえて結腸まで移動していました。



ここまで移動すると、後は便として排泄されるのみ。



なんと、なんと・・・土壇場で手術回避となりました。


造影剤の投与が刺激になるのか、時々消化管内異物の症例でこういった事が置きますが・・・まさか手術直前で流れるとは・・・強運の持ち主??



さて、この異物・・・飼主様にレントゲンを見ていただいたところ・・・



「2~3カ月前にイタズラしていた信玄餅のタレの容器だと思う・・・」



とのこと。



なんと、数カ月間の間、胃の中にあった空容器が、今になって消化管閉塞を起こし、なおかつ、手術直前のギリギリのタイミングで閉塞を乗り越えて結腸に到達したようです。


不消化性の消化管内異物の場合、時々こういったことがおこります。


異物は、胃の中にあるうちは単純な食べ物と同じですから、特に吐き気などが生じる場合はありません。
(刺激性、中毒性が無い場合に限ります)


ただ、それが胃の出口や腸に詰まってしまったときだけに、吐き気の症状が出ます。


ある程度の大きさの異物になると、胃の中で消化されることもなく、かといって胃の出口を通過することもなく、何カ月も胃の中に存在することがあるのです。



そうした異物が、ある日、無理やりに胃の出口を通過して腸に詰まってしまうと、今回のような事が起きてしまうのです。



数日後、飼主様が御連絡がありまして、無事に信玄餅の空容器はウンチと一緒に出てきたそうです・・・