町田市 谷口動物病院 犬猫専門の病院です
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重度の歯周病 Fちゃん8歳 その2
2016年09月23日 (金) | 編集 |
さて、先日の続きです。


重度の歯周病を患っているワンちゃん。


20160920tah02.jpg



残念ながら、ほとんどの歯をぬかなければなりませんでした。


なんと合計31本!!



特に酷かったのが上顎の犬歯。


犬歯部分の歯周病が重度の為、歯根と鼻腔を隔てる骨組織が壊死し、鼻腔内に穴があいてしまっていました。



口腔鼻腔瘻という状態です。


20160920tah06.jpg
口腔鼻腔瘻。犬歯部分を洗浄すると、病変部を通って鼻腔から洗浄液が流れてきます。
赤丸で囲んだ部分、鼻の穴の中に液が溜まっています。



当然、抜歯治療となるのですが・・・



犬歯の歯根は特に大きく頑丈なため、抜歯を行うには歯肉の切開や、歯を支える歯槽骨の切削が必要になります。



20160920tah07.jpg
歯肉を切開した犬歯。この後、歯を支えている歯槽骨を削ります。




歯根は歯根膜とよばれる強力な支持組織で歯槽骨に付着しています。


抜歯を行うには、エレベーターと言う器具を歯根部と歯槽骨の間に挿入し、梃子の作用を利用して歯根膜の付着をはがして行くのですが・・・


梃子の作用を最大限に利用するには、歯根周辺の骨組織が健全な状態でなければなりません。


ですが、今回の症例のように重度の歯周病に陥っていると、歯根周辺の骨組織が壊死してしまっているため、無理な力をかけると弱った骨が骨折してしまう危険があります。


そのため、抜歯の作業には細心の注意を払って作業を進めていきます。




20160920tah08.jpg
犬歯を抜歯した後。丸で囲んだ部分が口腔鼻腔瘻。
重度の歯周病の為、歯根周辺の骨組織が壊死、大きな穴があいて鼻腔とつながってしまっています。さらには、その周辺に膿状の汚れが・・・




反対側の犬歯も同様の状態。



20160920tah10.jpg
口腔鼻腔瘻ができて、奥に乳白色の膿状の汚れが溜まっています。
これを洗浄すると・・・





20160920tah11.jpg
食べカスと壊死を起こした組織が塊になって出てきました。
こんなヘドロ状の汚れが、常に鼻の中に溜まっていたということなのです。どれだけ不快だったことでしょう・・・




抜歯が終わると、歯肉を縫合しなければならないのですが・・・


縫合しようにもすでに歯肉の大半は壊死してしまっており、そのままでは傷をふさぐことができません。



そこで、頬の粘膜を剥離・移植して傷を塞ぐことになります。



20160920tah09.jpg



すでに壊死を起こしていたような組織ですから、移植した部分が上手く定着するか心配なところでしたが・・・



術後1週間の時点では上手く治っているようでした。



口の中の汚れや、口臭などは飼主様が気づいていても、どうしても後回しにされ、放置されることが多く


今回の症例のように、取り返しがつかないほどに進行してしまっていることも珍しくありません。



動物の歯周病治療は全身麻酔でおこなわなければならないため、ここまで重度の歯周病になると、麻酔時間も3時間~4時間となり



動物の負担、そして飼主様の金銭的な負担も大きくなってしまいます。



できれば、「歯が汚れてるな・・・」「口臭が気になるな・・・」と思った時点で、なるべく早めに診療を受けていただきたいものです・・・


※今回のワンちゃんは、現在の飼主様が引き取った時点で重度の歯周病に気がついて、急いでお連れいただいた症例です。