町田市 谷口動物病院 犬猫専門の病院です
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歯周病でこんなことになるの??
2016年08月19日 (金) | 編集 |
6月末から治療を続けていた症例です。



ある高齢の猫ちゃん。



アゴから出血しているということで急遽来院された症例なのですが・・・



お電話で様子を聞いて、「ケンカ傷か歯周病か・・・まあ、抗生物質飲んでもらいながら様子見るか・・・」と考えていたのですが・・・



診察室に入ってビックリ



20160819tah01.jpg



ちょっとやそっとの出血ではありません。



20160819tah02.jpg
傷口を洗浄し、壊死した皮膚組織を除去した状態。



飼主様のお話では、特にケンカをするような覚えもないとういうことですし・・・かといって、歯周病でここまで酷い状態ってのは私も過去に経験がありません。



高齢の猫ちゃんなので、場合によっては腫瘍の可能性もあるか・・・と考えつつも、お口の中を詳しく観察しようにも、嫌がってなかなか見せてくれません。



いずれにせよ、まずはこの大穴を何とかしないことにはどうにもなりませんから、まずはこの皮膚欠損に対しての治療を優先し、こちらが落ち着いてから根本的な治療を考えることにしました。



・・・とはいえ、こんな大穴をどうするか・・・皮膚が感染症を起こして、広範囲に壊死したような傷口ですから、このままこれを縫合するってのは無理があります。


無理やり縫い合わせても、縫合糸が引っ張るテンションに壊死した皮膚が耐えきれずにすぐに裂けてしまうのです。

そこで、まずは「湿潤療法」で皮膚の欠損部をある程度縮小させてから縫合する作戦をとります。



「湿潤療法」とは、生体の持つ自己治癒能力を最大限に活かす治療法。このうような皮膚の欠損に対して非常に効果的な治療法です。



具体的には、傷口を洗浄し、傷の修復を促す作用のあるドレッシング剤(ジェル状、スポンジ状など各種あり)を用いて傷口を密閉します。


皮膚欠損部の細胞は乾燥してしまうと自己治癒能力が十分に発揮されません。これをドレッシング剤で多い、適度な湿潤状態を維持してやることで、生体の持つ本来の自己治癒能力を最大限に活かすことができるのです。



もちろん、最大限の効果を発揮するには、洗浄・包帯交換のタイミング、ドレッシング剤の選択など経験がものをいう部分も大きいです。


ドレッシング剤の選択や、包帯交換のタイミングを間違うと、「浸軟」といって傷口が軟らかくふやけたような状態に陥り、かえって皮膚の損傷が広がる場合もあるのです。


「乾燥」しすぎず、かといって「浸軟」にも陥らない適切な「湿潤」環境を保つのが大切です。




20160819tah02.jpg
治療開始2日目 皮膚が赤く炎症を起こし、壊死組織がまだ残った状態



20160819tah07.jpg
3日目 壊死組織が奇麗に無くなり、周辺部の炎症も治まって奇麗な状態になりました。
壊死組織が消失した分、傷口そのものは少し大きくなったように見えます。



20160819tah05.jpg
5日目  傷口が奇麗な楕円形になりました。傷口が中心部に向かってふさがり始めた証拠です。
アゴ先部分を比べていただくと傷口の修復の様子が良く解ると思います。




20160819tah06.jpg
6日目 傷口が安定化し、縫合に十分に耐えられる状態になったので、一部縫合しました。



今回の皮膚欠損は余りにも広範囲なため、湿潤療法だけでの治療では時間がかかりすぎると判断したのです。
なんせ、今回は傷口が治ればそれでおしまいではなく、なぜこれだけの壊死病変が発生したのか根本的な原因を治療するのが最終目標ですからね。


湿潤療法での傷口の修復の様子はこちらの症例が解りやすいでしょうか → コチラ




・・・で、実はこの後の治療の様子は写真に撮ってないのですが、なんだかんだで完全に傷口が奇麗に治るのに約一カ月かかりました。




つづく・・・