町田市 谷口動物病院 犬猫専門の病院です
紐状異物
2015年09月18日 (金) | 編集 |
食欲不振と吐き気を主訴に来院した症例です。



まだ1歳と若いネコちゃんですが、数日前から急に元気・食欲が無くなり、吐き気が続いているということ。



ネコちゃんは食べ過ぎたときや、毛玉が溜まった時など、人間やワンちゃんに比べると吐くことの多い動物ですが、そういった場合は、吐きだした後はケロッとして元気にしているものです。



若いネコちゃんで、吐き気と共に急に元気食欲が無くなってしまった場合は、消化管内異物が強く疑われます。



慎重に触診をすると、やはり胃の後部に怪しい感触が・・・



レントゲン撮影でも、どうも「紐」のように見える影が写っています。



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十二指腸内に紐のような影(黄色い線で示す)




超音波検査では、十二指腸内に紐の断面と思われる白い丸が見えています。



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黒っぽい円形部分が十二指腸の断面図。その中心部に白く見える部分が、紐状異物の断面。




ここまでの検査で、かなり消化管内異物の疑いが高まってきましたが、開腹手術に踏み切るには、もう少し決定的な証拠が欲しいところです。



そこで、『造影検査」をおこないます。



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「造影剤」(バリウムのようなも)を飲ませてから撮影したレントゲン。造影剤が異物の表面に付着することで、異物の存在が鮮明になります。




どうやら紐状異物で間違いないようです。




ということで、緊急手術。



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紐状異物は、細いものだと胃壁や腸壁に食い込んでしまい、摘出する際に胃壁が裂けてしまう危険があるので、慎重に手術をおこないます。(飲み込んでからの時間が長いと、食い込んだ部分が壊死して腸穿孔を起こす危険もあります)



幸い、今回の紐は少し太めの紐だったので、胃や腸に食い込むことなく、スルリと引っ張り出すことができました。



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約50cmのゴム紐。髪の毛を結ぶやつですね。



実はこのネコちゃんの飼い主様は、こういった事故が起きることは良くご存じで、普段からゴム紐などを放置しないように細心の注意を払っていたそうで、いったいこのゴム紐をどこで飲み込んだのか全く心当たりが無いということでした。



おそらく、人間では見つけられないような家具の隙間などから引っ張り出してきたものと思われます。



いったいこんなに長いものをどうやって飲み込むんだろう? と私もいつも不思議に思うのですが・・・決して珍しいことではありませんから、皆様どうぞご注意くださいませ。