町田市 谷口動物病院 犬猫専門の病院です
  • 06«
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5
  • 6
  • 7
  • 8
  • 9
  • 10
  • 11
  • 12
  • 13
  • 14
  • 15
  • 16
  • 17
  • 18
  • 19
  • 20
  • 21
  • 22
  • 23
  • 24
  • 25
  • 26
  • 27
  • 28
  • 29
  • 30
  • 31
  • »08
心雑音とその原因
2015年09月04日 (金) | 編集 |
日々の診療の中で、「聴診」と言うのは基本中の基本。



主に心音・肺音を聴取して異常が無いか調べます。



肺音に異常を感じればレントゲン検査。


心音に異常を感じれば心電図やレントゲン、超音波検査などなど。



聴診器だけで正確な診断がつくことはありませんが、さらなる追加検査が必要かどうか? 循環器・呼吸器系に異常があるのかどうか? を素早く大まかに評価するにはとても有用な診断ツールであります。



さて、そんなふうにして聴診を行っていると、「心雑音」に出会うことが多々あります



通常聞こえる心音と言うのは、心臓内の弁が開閉することによって発生する音で、Ⅰ音・Ⅱ音と呼ばれています。


このⅠ音・Ⅱ音以外の音が聞こえたら、それらはすべて「心雑音」と言うことになります。



「心雑音」の原因は様々。


正常な心臓でも、緊張や興奮でドキドキが強くなった時などにも発生することがあります。


問題になるのは先天的な心奇形や、後天的な心臓病などで発生する「心雑音」。


「心雑音」の原因を見つけ、その重症度を評価するには超音波検査が欠かせません。



20150904tah01.jpg
右室流出路から肺動脈への移行部に「狭窄」があります。その部分を通過する血液に「乱流」が生じています。
正常な血流は「赤」もしくは「青」で描出されますが、「乱流」は赤・黄・緑・青が入り混じって描出されます。




この超音波画像はまだ1歳と若いネコちゃんの心臓の超音波検査画像です。


成長と共に「心雑音」が聴取されるようになったため、精密検査となりました。


成長期の動物で「心雑音」が聴取された場合は、先天的な心奇形が疑われます。


この症例は、右心流出路と呼ばれる部分に「狭窄」がありました。



狭窄部分を血液が通過する際に、血液が「乱流」を生じるため「心雑音」が発生していたのです。


正常な心臓では、心臓内を流れる血流はスムーズで、通常は聴診器で聞き取れるレベルの音が発生することはありません。


ですが、今回のように心臓内に狭窄があると、その部分を通過する血流に乱れが生じるため、雑音の原因となるのです。


音もなく流れる静かな水の流れに、手を突っ込んでバシャバシャとかき乱すと乱流が生じて音がするのと同じ事ですね。



20150904tah02.jpg
この症例では、正常な血流は「青」で示されていますが、狭窄部分を通過したところから黄色や緑、赤など様々な色合いが混ざった血流になっています。これが「乱流」です。






こちらも、生後間もないころから「心雑音」が聴取されていたネコちゃん。



この症例は心筋肥大が疑われる症例で、心室中隔壁の一部が肥大・突出し、大動脈の入り口を塞いでしまっています。



この狭窄部分を血液が通過する際に、乱流を生じ、「心雑音」を発生させていました。



幸い、これらの症例において、血流路の狭窄は軽度で、特に治療を必要とする状態ではありませんでした。



このように、超音波検査を駆使すれば「心雑音」の原因だけでなく、その重症度も正確に評価することができるのであります。