町田市 谷口動物病院 犬猫専門の病院です
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停留睾丸
2015年08月10日 (月) | 編集 |
こちらは、ある小型犬の男の子の写真です。


去勢手術前の若いワンちゃんなのですが・・・



20150810tah01.jpg



去勢手術前にもかかわらず、睾丸の所にふくらみが見当たりません。



「毛で見えないだけじゃないの?」と思うかもしれませんが、触診しても睾丸は全く触れることができません。



じゃあ、どこにあるのかというと・・・



20150810tah02.jpg
(超音波で確認した、腹腔内の睾丸の画像)




腹腔内であります。


「停留睾丸」という先天的な異常の一つです。


睾丸は本来、「陰のう」という袋に収まって、股間にぶら下がっているわけでありますが・・・


実は睾丸は、もともとは女の子の卵巣と同一の組織で、胎児のお腹の中で発生します。


腹腔内に発生した睾丸は、赤ちゃんの発育と共に腹腔内から股間の「陰のう」まで移動してくるのであります。


これが、きちんと「陰のう」まで移動せず、腹腔内に残ってしまうことを「停留睾丸」と呼び、小型犬に多い先天性疾患の一つに挙げられています。



腹腔内に停留した睾丸は、正常な睾丸よりも「癌」になりやすいといわれているため、早期の摘出が勧められます。


また、片方だけでも睾丸が下りていれば、繁殖することは可能なのですが、「停留睾丸」は遺伝する可能性があるため、繁殖は勧められません。



20150810tah03.jpg


通常の去勢手術の場合はおちんちんの付け根の皮膚を2cm程切開するだけで摘出することができますが、「停留睾丸」の場合は、開腹手術になります。



開腹した後、腹腔内に紛れ込んだ睾丸を探さなければならないのですが・・・



事前に超音波である程度の位置は確認していますし、睾丸と前立腺をつなぐ「精管」を手繰っていくことが出来れば、腹腔内の精巣を見つけること自体はスムーズ。



ただし、見つけた睾丸がスムーズに摘出できるかどうかはやってみないと解りません。



奇形の一種ですから、睾丸が思ったように腹腔外に引っ張り出せない可能性もあるのです。



20150810tah04.jpg



幸い、今回の症例ではそういった問題はなく、スムーズに手術を終えることができました。




術後の写真を観ると、本来睾丸があるべき位置に、まったくその痕跡が無いのが良くわかりますね。



通常の去勢手術では、睾丸を摘出してもペシャンコになった陰のうが残るのですが、この子の場合は陰のうの痕跡すらありません。