町田市 谷口動物病院 犬猫専門の病院です
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フィラリア予防薬の投与について
2017年06月01日 (木) | 編集 |
この季節になると、よくご質問いただくのが・・・



「うちの近所、草むらが多くて蚊がたくさんいるんです。フィラリア予防薬早めに飲んだ方がいいかしら・・・?」



というご質問。



当院では、フィラリア予防薬の投与期間は6月末~11月末の6カ月間とさせていただいています。



御自宅や散歩コース周辺の蚊が多かろうが少なかろうが関係ありません。



これを理解するには、まずフィラリアの感染メカニズムを知らなければなりません。



20150612tah01.jpg
株式会社インターズー CLINIC NOTE No83 P19より引用



1.mf
フィラリアの伝染は、フィラリア感染犬から蚊が吸血をするところから始まります。
※蚊が吸血するのは気温22度~27度以上となる夏の繁殖期の間だけです。
※フィラリア感染犬の血液中には、ミクロフィラリア(フィラリアの幼虫:mf)が存在しています。


2.L1~L3
蚊の体内に取り込まれたミクロフィラリアは、この時点ではまだ感染能力を持ちません。
気温25~28°の環境でおよそ2週間かけてL3と呼ばれる感染力を持った幼虫に成長します。
※L1,L2幼虫の段階では感染力はありません。


3.L3幼虫の犬への感染
L3(感染能力を持つ)幼虫まで成長すると、幼虫は蚊の口先に移動してきて、次の吸血の機会に犬の体内に侵入します。



つまり、蚊の吸血が始まってすぐにフィラリア感染が広まるのではなく、約2週間ほど蚊の体内でフィラリア幼虫が成長する期間が必要なわけです。



次に・・・



4.L3~L5
犬の体内に侵入したL3幼虫は、約2カ月かけてL4⇒L5(未成熟虫)へと成長していきます。

この期間(約2カ月)にフィラリア予防薬を飲むことで、体内に侵入した幼虫を駆除することができます。

実は、フィラリアの予防薬は、体内に侵入したL3幼虫とL4幼虫を駆除する「駆除薬」としての効果を持っています。

「フィラリア予防薬」という呼び方をするので誤解を招きやすいのですが、「フィラリアの感染を予防するのではなく、感染したフィラリアが成虫になる前に駆除するお薬」なのであります。



ですので、早く飲み始めたから安心かと言うと、あまりそういう問題でもないわけです。



5.成虫の心臓内への寄生成立
L5にまで成長したフィラリア幼虫は、その後、心臓内に寄生し成虫となり、ミクロフィラリア(幼虫)を産出するようになります(新たな感染源)。
フィラリアが成虫になってしまうと、通常の「フィラリア予防薬」では駆除できません。



要点をまとめると・・・



○フィラリア幼虫が蚊の体内で感染力を持つには、2週間ほどかかる

○犬の体内に侵入したフィラリア幼虫は2カ月ほどかけて成長するので、その間に駆虫薬を飲むことで成虫感染を防ぐことができる。


〇「フィラリア予防薬」は「成虫の心臓内への寄生を予防するため」に、「幼虫のうちに駆除するお薬」である。

ということになります。





そのため、いくら5月中に蚊を見かけようが、自宅近辺に蚊がたくさんいようが、6月末からきちんと予防薬を投与すればフィラリアが成虫になることはないということになります。



ただし、7月や8月になってからあわててお薬を飲み始めても、その時点で感染していた幼虫がL5幼虫にまで成長していた場合は、通常のフィラリア予防薬で駆除できる可能性は低く、感染が成立してしまう恐れがありますのでご注意ください。



また、もうひとつ大事なのが、11月末になって「もう、涼しいから平気かな?」とお薬を飲むのをやめてしまうと、11月初めに感染したフィラリアの駆除ができずに感染が成立してしまう恐れがあるのでご注意ください。



ということで、とにかく大事なのは、こちらで御指示させていただいた投薬期間をしっかりと守っていただくことです。


近所に蚊が多かろうが少なかろうが、それは関係ないということであります。