町田市 谷口動物病院 犬猫専門の病院です
  • 06«
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5
  • 6
  • 7
  • 8
  • 9
  • 10
  • 11
  • 12
  • 13
  • 14
  • 15
  • 16
  • 17
  • 18
  • 19
  • 20
  • 21
  • 22
  • 23
  • 24
  • 25
  • 26
  • 27
  • 28
  • 29
  • 30
  • 31
  • »08
僧帽弁閉鎖不全症の治療オプション
2015年05月29日 (金) | 編集 |
小型犬に多い僧帽弁閉鎖不全症(心臓病)ですが、一般的には内服薬でコントロールすることになります。



僧帽弁閉鎖不全症は、心臓内にある「僧帽弁」という弁の開閉に不具合が生じるため、血液循環がスムーズにいかなくなる病気です。



20150528tah01.jpg
僧帽弁閉鎖不全症のワンちゃんの心臓内の血液流速の測定。
eVの値は正常なら0.8~1.0m/sくらい。
この症例は1.17m/sと異常値を示しています。




治療の基本は内服薬。



血圧を調節したり、血管の太さを調節したり、心臓の収縮力を調節したり・・・そういったお薬を使うことで、弁の開閉が上手くいかないながらも、血液循環をうまくコントロールしていくことになります。





20150528tah02.jpg
上記の症例に内服薬を投与した後の計測値。
eVの値は正常範囲にコントロールされています。0.86m/s






ここで肝心なのが、いくら内服薬を使っても、異常を起こした「僧帽弁」そのものが治るわけではないということ。



徐々に弁の問題は進行し、内服薬では血液循環をコントロールしきれなくなっていきます。






20150528tah03.jpg
治療開始から半年程経過。
様々なお薬を投与し、血液循環のコントロールに努めてきたが、コントロールしきれなくなった状態。
eV 1.37m/s と言う値は、いつ肺水腫(呼吸困難)を起こしてもおかしくない状況です。




このように内服薬でコントロールしきれなくなった症例は、あとは出来る限りの対処をしながら、祈るのみ・・・ということになってしまうのですが・・・




近年では、小動物医療でも心臓手術の技術が発達してきまして、この「僧帽弁閉鎖不全症」を手術で治療することができます。



もちろん、当院でできるような手術ではありませんから、その様な場合は専門の病院をご紹介することになります。
JASMINEどうぶつ循環器センター


僧帽弁閉鎖不全症は、内服薬だけではコントロールが難しい、もしくは難しくなっていくと予測される症例に適用されます。



内服薬だけでも生涯十分にコントロールできるような症例には適用されません。



さて、手術で治療するといっても、体重5kg前後の小型犬の心臓を開いて、直径1~2cm程度の小さな弁にアプローチをする手術です。



リスクの高い手術になりますし、費用もものすごくかかります。(150万円~というような金額です。)



ですが、そういった諸々のハードルを乗り越えて手術が成功すると、内服薬ではコントロールできず、従来の治療法では死を待つしかなかったような症例でも、劇的に改善することができます。




20150528tah04.jpg
上記の症例の外科手術後の計測値。
eV 0.9m/sと正常範囲に戻り、心臓内での血液循環も大きく改善されています。




リスクも大きく、費用的な負担も大きな治療法ですので、どなたにでもお勧めできる治療法というわけではありませんが、近年ではペット医療でもこのような高度な治療を行うことができるようになってきているのです。