町田市 谷口動物病院 犬猫専門の病院です
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重度の歯槽膿漏
2015年05月18日 (月) | 編集 |
12歳の小型犬の歯周病治療の様子です。



今年の一月頃から、膿状の鼻水が出て、いびきや呼吸障害に悩まされているということで来院された症例です。



内服薬での治療を続けていたそうなのですが、なかなか改善がなく、元気も食欲もなく寝てばかりということでした。



この話だけを聞くと、「呼吸器疾患かな・・・?」と言う気がしますが・・・



この症例は歯周病でした。



20150519tah01.jpg



全体的に重度の歯石付着と歯周病を患っていたのですが、特に奥歯が酷い状態。



ワンちゃんの歯の根っこ部分のすぐそばには、鼻の穴があります。


両者を隔てるのは、薄い骨の隔壁だけで、歯周病が酷い場合はこの隔壁が壊死し、歯根部と鼻の穴がつながってしまいます。



これを「口腔鼻腔瘻(こうくうびくうろう)」と呼びます。



20150519tah02.jpg



鼻からでてくる膿状の鼻水は、歯周病の影響なのです。




こんな状態では、食欲もでませんよね。




この奥歯は、もう根っこがグズグズで温存することは不可能ですので、抜歯します。




20150519tah04.jpg



歯を抜いた状態。


ぽっかりと大きな穴が開いて、ヘドロのような汚れがつまっています。通常であれば、抜歯をしてもこんな大穴は開きません。


これは、歯周病で歯根周囲の歯肉や骨が壊死して、鼻の穴までつながる大穴があいてしまった状態なのです。



そして、この部分を洗浄すると・・・


20150519tah05.jpg
金属製のゾンデを左奥歯のあった場所に挿入し、洗浄液で洗浄している様子。
○で囲った部分の右の鼻の穴から洗浄液が流れ出ています。






「左」の奥歯の部分を洗浄しているのに、「右」の鼻の穴から洗浄液が出てきます。



つまり、歯周病の壊死病巣は歯の周辺だけではなく、鼻の奥まで広がり、左右の鼻の穴が貫通するくらいに重度に広がってしまっているということです。



イメージとしては、左右の奥歯と鼻の奥全体が壊死してグズグズになってしまった状態。



そのため、いびきや呼吸障害などの症状が出ていたわけです。





20150519tah07.jpg


ちなみに、右はこのような状態です。




歯を抜いたところ。



20150519tah083.jpg



鼻の奥まで穴がつながっている様子が良くわかります。





さて、これらの大穴ですが・・・これをふさがないことには、食事やお水が全部鼻の中に流れて行って大変なことになります。



とはいえ、歯茎の肉も壊死して消失しているので、普通にふさぐことはできません。



そこで、頬の粘膜を剥離し、フラップ(垂れ幕)状にしたものを移植してこの穴をふさぎます。



20150519tah06.jpg



今回の症例は病状の進行が酷く、すでに食欲不振に陥ってからの経過も長かった為、体は痩せ衰えて栄養不良の状態でした。



麻酔のリスクも高く、病状の進行も酷く、色々と不安の多い手術でしたが、何とか上手くいき、元気・食欲もかなり改善したようです。


くしゃみや鼻づまりの症状はまだ残っているようですが、こればかりは完全に回復することは難しいかもしれませんね。