町田市 谷口動物病院 犬猫専門の病院です
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歯周病の抜歯治療 2
2015年02月10日 (火) | 編集 |
前回ご紹介した症例の続きです。



20150205tah02.jpg


重度歯周病の症例です。


部分的な歯石クリーニングや飲み薬で治療を受けていたようですが、積極的な抜歯治療がされなかったため、重度の歯周病になってしまっていました。


20150205tah03.jpg


歯周病による炎症が舌にも広がっています。



歯と触れ合う両サイドの部分が、真っ赤に腫れてしまっています。



20150205tah04.jpg



奥歯の周辺も、頬の粘膜が酷く腫れあがっています。


歯そのものは白く奇麗に見えますが、歯根部の歯周病が治療されていないために、このように周辺の頬粘膜にまで炎症が広がっています。



20150205tah06.jpg



反対側も同様です。



歯石のクリーニング処置と言うのは、歯の表面を磨くだけでは不十分です。



歯と歯茎の境目である歯肉溝部分のクリーニングが的確になされていなければいけません。


そうでないと、今回の症例のように、歯の表面は一見奇麗でも、歯根部での歯周病がどんどんと進行していくことになります。



一部のトリミングショップや、動物病院で「無麻酔での歯のクリーニング」がおこなわれているようですが・・・


「無麻酔での歯石クリーニング」では、歯肉溝部分の的確なクリーニングは不可能です。


前歯や奥歯の一部など、ほっぺたを軽くめくって見えるような部分の歯は奇麗になったようでも、歯の裏側や、麻酔をかけて大きく口を開けなければアプローチできなような奥歯に関してはまともに処置できるはずがないのです。



そのため、一見すると歯が奇麗なように見えて、飼い主様も「クリーニングしてもらったから大丈夫」と思っていても・・・


見えない部分でどんどんと歯周病が進行し、手遅れになってしまうのです。



実際、日本獣医師会や日本小動物歯科研究会でも「無麻酔での歯石クリーニング」の実施については否定的で、全身麻酔下での的確な歯科処置が推奨されています。



当然、当院でも特殊なケースを除いて、基本的には麻酔下での処置とさせていただいております。



20150205tah05.jpg


結局ほとんどの歯を抜かなければならない状態でした。



20150205tah07.jpg
一見すると奇麗な歯でも、抜歯してみると根っこ部分がひどく汚れているのが解ります。




計29本の抜歯です。(一部の歯は分割して抜歯しています)



3時間に及ぶ、長時間の手術となりました。



人間の歯科治療の場合、治療は何度かに分けておこなうことが一般的です。


皆さんもご経験がおありだと思いますが、15~30分程度の治療に何回か通って治療しますよね。



ですが、動物の歯科処置では全身麻酔を行う都合上、すべての処置を一度に終わらせなければなりません。どうしても長時間の麻酔処置になってしまうのです。




そのため、歯周病が酷ければ酷いほど、麻酔時間は長時間になり、動物に対する負担は大きくなります。




そうならないためにも、早い段階に的確な歯科処置(もちろん麻酔下で)を行うことが、結果的には動物の負担を軽くするのです。



早期での歯科処置であれば、一回の処置時間も短くなりますし、また処置そのものに伴う痛みも少ないので、麻酔の量も少なくて済みます。


人間の虫歯治療でも、初期の段階であれば1~2回の通院で済みますが、酷いときには5回も6回も通院しなければならず、麻酔もたくさん必要になります。処置そのものも大がかりになっていきますよね。




こういったことを、しっかりと獣医師が理解し、飼い主様にご理解いただきながら治療を進めていくことが大切なのであります。