町田市 谷口動物病院 犬猫専門の病院です
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顎が開かないネコちゃん 1
2015年01月22日 (木) | 編集 |
昨年末から診させていただいている症例です。



10歳になったばかりのネコちゃんなのですが、昨年の9月頃から元気や食欲が無くなってきたということでした。


初めはネコ風邪だろうという診断で、抗ウイルス剤を投与して様子を見ていたそうですが、そのうち顎を気にしてひっかくようになり、当院に来院する頃には口が余り開かず、開けようとすると痛がるようになっていました。


抗生物質の投与や、鎮痛剤の投与で治療を続けてきたものの、改善が無いということで当院にいらっしゃいました。



さっそく、身体検査で詳しく調べていくと・・・


たしかに口を開こうとすると痛がる様子があります。そもそも、アゴの関節や筋肉が完全に固まっているようで、無理やり開こうとしてもアゴが開きません。


さらには左側の頬や鼻周辺に知覚麻痺がありました。



「顎が開かない」という症状から考えると、歯科疾患や顎の関節疾患(落下事故で顎をぶつけるなど)、筋肉の異常(咀嚼筋炎)、頭蓋内腫瘍をなどが疑われます。



ただし、歯科疾患や顎の関節疾患では、今回のように顎を開こうとしてもビクともしないというよりは、多少は動くのだけど、完全に開かない・痛みがあるといった症状になります。


今回の症例は、5mm程の隙間が開くだけで、それ以上には全く口が開かない状態です。


このような状態では、ワンちゃんの場合は「咀嚼筋炎(そしゃくきんえん)」を疑います。このブログでも一度ご紹介したことがございます。



ただし、「咀嚼筋炎」はちょっと特殊な病気で、ワンちゃんでは稀に見られるものの、ネコちゃんでの症例というのは聞いたことがありません。それに、「咀嚼筋炎」で知覚麻痺がでるということも普通は考えられません。



そうなると・・・腫瘍の可能性が一番高いか・・・?



とはいえ、身体検査だけではまだ解りませんから、頭部のレントゲンを撮影してみます。



20150122tah03.jpg
頭部レントゲン。画像の上が鼻の先。頭を上から見下ろす角度での撮影。



一見すると特に異常が無いように見えますが・・・



頭の構造と言うのは、基本的に左右対称であるということを念頭において観察すると、ある違いに気が付きます。




どうでしょう?


お解りになりますか?








20150122tah04.jpg


左側の鼻の穴の奥、眼窩周辺(眼球を支える構造)が白く影になっています(青丸で囲んだ部分)。


右側の同じ部分を見ると、三角形に黒い空洞があるのが解ります。これが正常な状態。



この所見から、やはり左の鼻、口、眼の奥に何らかの腫瘍性疾患が存在することが疑われます。



この腫瘍と思われる部分のせいで、顎の動きが妨げられ、また左頬に分布する神経にも障害が出ているのだと考えられます。



ですが、これ以上詳しく調べるには、CT撮影と、腫瘍と思われる部分の組織検査が必要です。



そこで、高度医療センターでの精密検査を依頼することとなりました。


つづく・・・