町田市 谷口動物病院 犬猫専門の病院です
子宮蓄膿症
2014年10月03日 (金) | 編集 |
9月半ばころに手術をした症例をご紹介します。



1週間ほど前から、元気・食欲が無くなってきたということで来院された症例です。



6歳8カ月の中型犬の女の子(未避妊)で、少し吐き気もあり、食事は手で与えると一口、二口程度は食べてくれるものの、普段の1/10程度しか食べていないとのこと。


喉が渇くようで、水は普段よりも多く飲んでいるようでした。


身体検査では、やや熱がある(39.1℃)以外は、明らかな異常は見当たりません。



ここで、重要な確認事項が一つ。



症例は、未避妊のワンちゃんですので、最終発情がいつだったかを確認します。



以前にもお話ししたことがありますが、中高齢のワンちゃんでは、発情期に関連して子宮の病気を発症することが良くあるのです。



飼い主様に確認すると、1か月ほど前に発情期が来ていたということ。


これらの問題を、箇条書きすると・・・

○ 中高齢の未避妊のワンちゃん

○ 発情後1カ月

○ 元気・食欲の低下

○ 水を良く飲む

○ 発熱



ここまで出そろうと、子宮の病気の疑いがかなり濃厚になります。



ワンちゃんの子宮の病気と言うと、ほとんどが「子宮蓄膿症」です。



「子宮蓄膿症」は、子宮の粘膜に細菌が感染し、子宮内部に大量の膿がたまる病気です。



発症には、発情後に分泌される黄体ホルモンが関与しています。


そのため、発情後1~2カ月頃に発症することがほとんどです。


また、中高齢のワンちゃんほど、長年にわたって繰り返し黄体ホルモンの影響を受けているため、発症しやすいと考えられています。


子宮内部に膿がたまるため、当然、元気食欲は無くなりますし、も出ます。


感染症の影響で、水を良く飲み、おしっこが多く出るようになります。これを、多飲多尿といいます。


症例によっては、陰部から膿状のオリモノが分泌されることもあります。



診断を確定するには、血液検査・超音波検査をおこなう必要がありますが、私の経験では、上記のような症状が認められたワンちゃんの8~9割は子宮蓄膿症で間違いありませんでした。



20141003tah03.jpg
超音波で確認した子宮。子宮内部に多量の膿が貯留しています(黒く見える部分)。



子宮蓄膿症を放置すると、子宮内に貯留した膿の毒素の影響で、多臓器不全に陥り、間違いなく死に至ります。


自然に治るということは、(ほぼ)ありえませんし、内科治療も通常は勧められません。



基本的には、手術で膿の貯留した子宮を丸ごと摘出するのが唯一の治療法になります。


つづく・・・