町田市 谷口動物病院 犬猫専門の病院です
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肺水腫による呼吸困難
2014年07月24日 (木) | 編集 |
まずはこちらの写真をご覧ください。



20140721tah01_20140721112325c3c.jpg



心不全で入院治療を行ったワンちゃんの胸のレントゲン写真です。



○で囲んだ部分の肺が、スリガラスのように白く曇っているのがお解りいただけると思います。



「肺水腫」と言う状態です。


心不全を起こした際の症状の一つで、血液循環の悪化により、肺の内部に液体が貯留してしまいます。



肺の中に液体がたまると、ガス交換が正常に行えず、呼吸困難に陥ります。


初期の段階では、息が荒くなったり、咳きこむくらいの症状ですが、重度になると呼吸困難で死に至る危険な状態です。


肺の内部に貯留した液体は、物理的に取り除くことはできません。


心不全を改善するための基本的な投薬に加え、利尿剤を投与することで、血液循環を回復させ、肺内部の液体貯留を改善させます。



20140721tah02_201407211114568df.jpg



同じ症例の退院時のレントゲン写真です。


スリガラスのようになっていた部分の肺が、すっかり奇麗になっています。



こちらのワンちゃんは、4年ほど前に、一度当院で心臓の検査をしたことがありました。



20140721tah03.jpg



こちらは、4年前の検査の数値です。


僧帽弁閉鎖不全症の重症度を評価する検査の一つで、超音波で心臓内の血流速を測定しています。


○で囲った「eV」という値が重要です。



この数値が1.0m/s以下であれば、僧帽弁閉鎖不全症としては、比較的症状が軽い状態です。



この数値が1.2m/sを超えてくると、肺水腫を発症する危険が急速に高まってきます。



20140721tah04.jpg


そして、こちらが今回の数値。


1.4m/sと非常に高い値となっております。


ここまで数値が悪化すると、今回のように入院治療が必要となるほどの「肺水腫」を発症してしまいます。



こちらのワンちゃんは、当院で継続して診療していたわけではないので、途中の経過は不明ですが、4年の間にずいぶんと病状が進行していたようです。
※別の病院さんで診察を受けていらっしゃったようですが、聴診器による心音の聴取だけで、精密検査は受けたことが無かったそうです。


心臓と言うのは、もともと病気の進行に対して、ある程度の抵抗力を持っています。



そのため、徐々に病状が悪化していても、その状態に少しずつ適応していくため、一見元気なように見えてしまいます。
※おそらくワンちゃん自身は息苦しさや、動悸などを感じているはずですが、飼い主様の眼には変化が無いように見えてしまいます。



聴診器で解るほどの状態、もしくは飼い主さんが気がつくほどの症状が出始めた頃には、思いのほか病状が進行してしまっているということも少なくありません。



最低でも、半年に一度は、精密検査を行い、症状に現れる前に病状の変化をとらえておくことが重要になるのです。