町田市 谷口動物病院 犬猫専門の病院です
肥大型心筋症と胸水
2014年06月28日 (土) | 編集 |
こちらの液体。



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ある心臓病の猫ちゃんから採取した胸水です。



およそ300ml。



体重3kgそこそこの猫ちゃんの胸の中に、これだけの胸水が溜まっていました。




胸水が溜まると、肺が押しつぶされてしまい、重度の呼吸困難をおこします。




この猫ちゃんが患っていたのは、「肥大型心筋症」という心臓病。



猫ちゃんの心臓病としては、もっとも一般的な病気です。


心臓の筋肉が肥大することで、心臓の動きが阻害されて循環不全を生じたり、不整脈が発生したりします。



血液循環不全が生じると、上述の写真のように、胸水が溜まってしまうことがあるのです。



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また、この病気の特徴的な症状として、心臓内に血栓(血の塊)ができることがあります。



こちらの猫ちゃんでも、直径15mmを超える大きな血栓が、左心房内に存在していました。



たった15mmと思われるかもしれませんが、猫ちゃんの心臓の大きさというのは、大ぶりの苺くらいのサイズです。



そんな小さな心臓の中に15mmの血栓ですから、かなりの大きさなのです。



心臓内に発生した血栓が、重要な血管を詰まらせてしまい、突然の下半身不随引き起こすこともある、おそろしい病気です。



そんな肥大型心筋症の最も恐ろしいところは、突然の呼吸困難や、下半身まひ(血栓による)といった重度の症状が発症するまで、飼い主様が病気に気がつかないことがほとんどだという所。



心筋の肥大は、遺伝的な要因等により、徐々に進行します。



そのため、初期の段階では無症状であることがほとんどで、症状が出始めた頃には、すでに末期状態であることも珍しくありません。



また、心筋の厚みはレントゲン等で正確に評価することは難しく、超音波検査による精密検査でなければ把握することは困難です。



そういったことも、この心臓病の早期発見の難しさにつながっているのです。





肥大型心筋症は、遺伝が関わっているとも考えられており、実際にメインクーンやアメリカンショートヘアなど特定の種類の猫ちゃんに多くみられます。



そういった、リスクの高い猫ちゃんでは、最低でも年に一回は心電図検査や胸部レントゲン検査を行い、少しでも異常所見があれば積極的に超音波検査でのチェックを行っておくことが勧められます。