町田市 谷口動物病院 犬猫専門の病院です
  • 10«
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5
  • 6
  • 7
  • 8
  • 9
  • 10
  • 11
  • 12
  • 13
  • 14
  • 15
  • 16
  • 17
  • 18
  • 19
  • 20
  • 21
  • 22
  • 23
  • 24
  • 25
  • 26
  • 27
  • 28
  • 29
  • 30
  • »12
胆嚢疾患 
2014年06月24日 (火) | 編集 |
当院では、予防医療を重視しており、定期的な健康診断「わんにゃんドック」を行っております。



そうやって、日頃からたくさんのワンちゃん・ネコちゃんの検診を行っていると、まだ症状などはないものの、病気の前段階とも言うべき状況に遭遇することも数多くあります。


たとえば胆嚢疾患。



20140624tah02.jpg
正常な胆嚢(GB)の超音波画像


胆嚢(たんのう)というのは、肝臓のすぐそばにある袋状の器官。



胆汁という消化液を貯蔵し、分泌する働きを持っています。



超音波でみると、黒い楕円形をした臓器として映し出されます。


黒く見えるのは、内部にたまった胆汁(消化液)です。


わんにゃんドックで超音波検査をしていると、この胆嚢に問題が見つかることが良くあります。



「胆泥症(たんでいしょう)」です。


20140624tah03.jpg
胆嚢内に、白い泥状~ゼラチン状の胆泥が貯留している様子。


「胆泥(たんでい)」とは、胆嚢内の胆汁(消化液)に濁りが生じて、泥状や、酷いときにはネバネバとしたゼラチン状に固まってしまった状態のこと。


胆泥が生じる理由は、年齢的な要因や、食生活、体質、胆嚢の感染症など様々で、わずかな胆泥なら正常な状態でも生じることがあります。


胆泥が溜まっているだけでしたら、ほとんどの症例は無症状。わずかに血液検査で異常がみられることもありますが、超音波検査を行わない限りは解らないことがほとんどです。



このように、一見すると無害のように思える胆泥ですが・・・



たしかに、少量の胆泥でしたら、特に問題はなく、治療をせずに経過観察で済むことがほとんどです。



ですが、胆泥の量が多量になると、大きな問題につながることがあるのです。



20140624tah04.jpg
多量の胆泥が、大きな塊状になった状態。
左側の白いボール状の塊が、ゼラチン状に固まった胆泥。



ゼラチン状に固まった胆泥が、胆嚢の出口を塞いでしまい、胆汁(消化液)の分泌を妨げてしまうことがあるのです。


その状態が続くと、胆嚢に激しい炎症が生じたり、肝臓や膵臓などの周辺臓器にも悪影響を及ぼします。


最悪の場合は、胆嚢破裂を起こし、致死的な腹膜炎を起こすこともあるのです。



20140624tah01.jpg
ゼラチン状に固まった胆泥によって、胆汁の排泄が妨げられてしまった状態。
胆嚢周辺には激しい炎症が生じ、破裂寸前の状態です。このような状態を特に、「胆嚢粘液のう腫」と呼びます。
激しい嘔吐を主訴に来院した症例で、当院で診断後、2次診療施設で緊急手術となりました。



胆泥症の判断は難しく、無症状でほぼ正常な状態から、致死的な状態に陥るまで幅広いうえに、胆嚢破裂に至るような症例でも、直前まで全く無症状だったりすることもあり、診断がついた時には手遅れということも珍しくありません。



ゼラチン状に固まった胆泥が、いつ胆嚢の出口を閉塞させるかは予測することはできません。


いわば、いつ爆発するかわからない爆弾を抱えたような状態といえるのです。



胆嚢破裂にまで至ることは稀ですが、胆泥症そのものは中高齢のワンちゃんにとっては決して珍しいものではありません。


定期的な健康診断で、的確に状態を把握し、リスクの軽減に努めることが大切になります。