町田市 谷口動物病院 犬猫専門の病院です
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帝王切開 2
2014年05月23日 (金) | 編集 |
小型犬では、どうしても母体のサイズに比べて、胎児が大きい為、難産になることが多くなります。



20140520tah01.jpg


たとえば、体重が30kgあるような大型犬から生まれた仔犬の、出産直後の体重はおよそ400g~600g程度。



それに比べ、体重3kgの小型犬から生まれた仔犬の、出産直後の体重は150~200g程度。



小型犬と大型犬で、母体の体重差は10倍もあるのに、生まれてくる仔犬の体重差は2~3倍程度。



いかに、小型犬の母体にとって、胎児が大きいかが良くわかると思います。



こちらのわんちゃんも、残念ながら帝王切開となってしまいました。



陣痛が始まって、一度赤ちゃんの一部が見えたそうなのですが、その後ひっこんでしまったとのこと。


破水してから、1~2時間たっても全く生まれる様子がありません。


触診で子宮の出口に胎児は触れるものの、どうやら骨盤のところでひっかかってしまっているようです。


すぐに手術の体制を整えて、帝王切開をおこないます。


20140520tah03.jpg



体重3kgに満たない母体(妊娠時の体重は3.60kg)に、私の握りこぶし三つ分もあるような大きな子宮。



なんとなく塊が3つあるのがお解りいただけますでしょうか?



帝王切開そのものは、よっぽど特殊な状況でなければ、技術的には難しい手術ではありません。



大変なのは、摘出した胎児の蘇生処置。


20140520tah04.jpg


母体に使用した麻酔薬は、胎盤を介して胎児にも影響します。


難産で弱った胎児が、麻酔から覚めずにそのまま亡くなってしまうこともあるのです。


20140520tah05.jpg


幸い、今回は皆元気に生まれてきました。
※先日のレントゲンクイズの答えは3頭でした。



ただし、帝王切開が無事に終了しても、もう一つの心配事が・・・



20140520tah06.jpg



自然分娩でない場合、特に初産のワンちゃんでは、生まれてきた赤ちゃんの事を上手く認識できず、世話をしないことが多々あります。



今回のワンちゃんも、初めは赤ちゃんをそばにおいても、まったく面倒をみる様子がありませんでした。


上の写真を見ると、母犬が赤ちゃんを守っているようにも見えますが、これは私が無理やり赤ちゃんをお腹の下に置いただけ。


ケージのドアを開けると、赤ちゃんほったらかして外に出ようとしてしまうのです。



初めの1~2日は上手く赤ちゃんの面倒が見れなくても、だんだんと母性本能が目覚めて、上手に面倒をみるようになる子もいますが、なかには完全に育児放棄してしまうワンちゃんもいます。



こちらのわんちゃんは、初めの半日は完全に育児放棄でしたが、徐々に母性本能が目覚めてきたようで、なんとか無事に育児をはじめてくれました。



「我が子のように可愛がっているワンちゃんやネコちゃんの子供が欲しい」という飼い主様のお気持ちというのは、ごく自然なものだと思います。


ですが、犬種によっては、それは大きな負担になりかねないということを知っておいていただければと思います。