町田市 谷口動物病院 犬猫専門の病院です
催吐処置
2014年05月17日 (土) | 編集 |
先日は、腸閉塞で緊急手術を行った症例をご紹介しましたが・・・


先日のケースは、飼い主様も知らない間にゴム紐を飲んでしまい、それが腸閉塞を起こしたことで異常に気がついたわけですが・・・



では、眼の前で異物を飲み込んでしまった場合はどうすればよいのでしょうか?



飲み込んだ物によって対処法は変わってきますが、単純な紐とか果物の種といった異物は催吐処置を行います。
※食道炎を起こすような薬剤や、食道を傷つける恐れがあるような物の場合は吐かせてはいけません。



「催吐処置」・・・つまり、薬剤の作用で無理やり吐き出させるわけです。



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とはいえ、「安全に吐かせるためのお薬」なんてものはございませんので・・・なんらかの薬品の「副作用」を利用して吐かせることになります。



獣医療で一般的なのは・・・

1.オキシドール
消毒薬であるオキシドールを飲ませることで、胃粘膜を刺激して吐かせます。
当然、胃の粘膜が荒れて胃炎を起こしてしまいますので、処置後もしばらくは吐き気が続きます。
処置後に胃潰瘍になり、死亡した症例というのもあるそうなので、決して無害な方法ではありません。


2.トラネキサム酸の大量・急速静脈投与
トラネキサム酸というのは、炎症を抑えたりするのに使用する薬剤なのですが、この薬剤を、通常よりも大量・急速に静脈投与すると、副作用で吐き気を催します。
胃炎や胃潰瘍などの有害作用はなく、処置後に吐き気が長く続くようなこともありませんが・・・
この方法も、完全に無害というわけにはいかず、けいれん発作を起こした症例や、心停止を起こした症例の報告があります。



といった具合に、ある程度の有害作用はございますが、手術でお腹をあけるよりはまだマシなわけですので、ある程度の危険性を理解していただいたうえで処置を行うのであります。



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タオルをかじって飲み込んでしまったワンちゃんの吐物。


一番大きな破片は、男性の人差し指くらいの長さです。


このワンちゃんは大型犬でしたので、このくらいのサイズなら、よっぽど運が悪くない限りウンチに出ると思いますが、小型犬ではちょっと危険ですね。



開腹手術までには至らなくても、このようにお薬で緊急的に吐かせる処置をするようなことはしょっちゅうです。



くれぐれも、皆様ご注意くださいませ。