町田市 谷口動物病院 犬猫専門の病院です
  • 08«
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5
  • 6
  • 7
  • 8
  • 9
  • 10
  • 11
  • 12
  • 13
  • 14
  • 15
  • 16
  • 17
  • 18
  • 19
  • 20
  • 21
  • 22
  • 23
  • 24
  • 25
  • 26
  • 27
  • 28
  • 29
  • 30
  • »10
高齢犬(♀)のオリモノにご注意を 
2014年04月08日 (火) | 編集 |
春先や、秋口等、わんちゃんに発情期が訪れる頃になると、子宮の病気が増えてきます。


高齢の、避妊手術をおこなっていないわんちゃんに多いのですが、発情期~発情後の子宮は、感染症を起こしやすい状態にあり、感染症を起こした子宮内には、大量の膿が貯留します。


「子宮蓄膿症」です。


子宮内に貯留した膿の一部は、オリモノとして陰部から排出されますが、場合によっては腹腔内に漏れ出てしまうこともございます。


子宮内に貯留した膿の毒素は、全身の臓器に影響を及ぼし、放置すれ命を脅かす疾患です。



病気自体が腹腔内のことですので、「なんとなく元気がない・食欲がない」といったハッキリしない症状しか示さないことも多いのですが、注意深く観察していれば、オリモノで陰部周辺が汚れていたり、オリモノを気にして陰部周辺をやたらと舐めている様子に気がつくこともございます。



こちらは、先月手術をおこなった症例の超音波画像。


20140408tah01.jpg


数日前から、元気食欲がいまいちだということで来院された症例です。


身体検査で、陰部周辺がベトベトとオリモノで汚れているのが観察されました。


この時点で、子宮の異常を疑っての超音波検査です。


画像の中心よりやや右寄りに、黒い円が見えると思います。


これが、膿の溜まった子宮の断面。


そして、その子宮の外側にも黒く膿がたまった部分が観察されます。


20140408tah02.jpg
黄色い斜線を引いた部分が、子宮外に漏れ出た膿。



これは、子宮内に貯留した膿が、腹腔内に漏れ出てしまっていることを示します。



一刻の猶予もない状態です。


子宮蓄膿症の治療は、ごく一部の例外を除き、外科手術だけが唯一の選択肢です。


特に、今回のように膿が腹腔内に漏れ出ている場合は、できる限り早く手術をおこない、膿の溜まった子宮の摘出と、腹腔内の洗浄をおこなわなければいけません。



すぐに術前の検査や準備を整え、緊急手術となりました。



20140408tah03.jpg



メスを入れると、すぐに膿の混ざった腹水があふれ出てきます。




20140408tah04.jpg



腹腔外に取り出した子宮は、すでに大半の膿が漏れ出ていたこともあり、大型犬の子宮蓄膿症にしては小さめです。


子宮を摘出した後は、丁寧に腹腔洗浄を繰り返し、でいる限り腹腔内に漏れ出た膿を洗い流します。



子宮蓄膿症では、手術が成功し、子宮を無事摘出できたとしても油断はできません。


手術が成功したとしても、すでに漏れ出た膿による腹膜炎や、体内に吸収された膿の毒素により、多臓器不全を発症し、命を落としてしまう危険性があるのです。



そのため、術後1カ月程度は、慎重に経過をみる必要があるのです。



幸い、今回の症例のわんちゃんは術後の回復も良く、今のところは経過良好のようで一安心です。


「子宮蓄膿症」は、はじめに述べたとおり、発情期と関連して発症する病気ですので、避妊手術をおこなっていないわんちゃん・ねこちゃんでは、日頃からオリモノなどの異常が無いか注意しておくことが大切です。