町田市 谷口動物病院 犬猫専門の病院です
  • 06«
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5
  • 6
  • 7
  • 8
  • 9
  • 10
  • 11
  • 12
  • 13
  • 14
  • 15
  • 16
  • 17
  • 18
  • 19
  • 20
  • 21
  • 22
  • 23
  • 24
  • 25
  • 26
  • 27
  • 28
  • 29
  • 30
  • 31
  • »08
猫伝染性腹膜炎
2014年02月03日 (月) | 編集 |
猫伝染性腹膜炎(FIP)という病気をご存知でしょうか?




猫ちゃんのウイルス性疾患の一つで、死亡率が非常に高く、有効な治療の手立てもありません。




猫伝染性腹膜炎(FIP)の原因ウイルスは「コロナウイルス」であります。



ですが、すべてのコロナウイルスが猫伝染性腹膜炎(FIP)を発症するわけではありません。



本来、コロナウイルス自体は病原性は低く、多数の猫ちゃんが無症状のまま感染をしていると考えられています。
(コロナウイルスは感染猫の糞便を介して容易に感染していきます)



しかし、何らかのきっかけで、コロナウイルスが猫ちゃんの体内で突然変異を起こし、より毒性の強いウイルスへと変化した際に、猫伝染性腹膜炎(FIP)を発症すると考えられています。



したがって、同じようにコロナウイルスに感染しても、全く症状がない子もいれば、運悪く猫伝染性腹膜炎(FIP)の症状を発症し、命を落とす子もいるのです。





猫伝染性腹膜炎(FIP)の症状には、胸水や腹水がたまるウエットタイプといわれる症状と、化膿性肉芽腫と呼ばれる炎症性の「おでき」が内臓に形成されるドライタイプという症状がみられます。



20140131tah02.jpg
ドライタイプの猫伝染性腹膜炎(FIP)を発症した猫ちゃんの腹腔内に形成された「化膿性肉芽腫」。



20140131tah03.jpg
試験開腹の様子。




胸水や腹水がたまるウエットタイプは比較的診断しやすいのですが、ドライタイプの場合は、眼に見える症状がないまま衰弱し、死亡していくことも多い為、診断が難しい疾患でもあります。



数年前までは、そもそも猫伝染性腹膜炎(FIP)を正確に診断できる検査そのものが存在しませんでしたが、近年ではウイルスの遺伝子を検出する検査が利用できるようになり、以前よりはだいぶ診断精度が上がってきました。



20140131tah01.jpg




初めにも書きましたが、この猫伝染性腹膜炎(FIP)は致命的な病気ですが、いまだ有効な治療法がございません。



ステロイド剤や、インターフェロンと呼ばれる抗ウイルス薬の使用などが報告されていますが、いずれも延命効果はあるようですが、完治は難しいのが現状です。




ですので、この病気に関しては、治療よりも、まずコロナウイルスそのものに感染しないようにすることと、もし感染してしまっていたとしたら、ウイルスが突然変異を起こすことを予防することが大切です。



コロナウイルスそのものは、野良ネコちゃん、家庭猫問わず多くが無症状のまま感染していることが多いので、不用意に野良ネコを引き取ったりしないことが大切。



また、コロナウイルスが体内で突然変異するきっかけの一つに、猫ちゃんの免疫力の低下があげられているため、普段から健康状態に気をつけ、万全の体調を維持するように心がけることが大切。



猫伝染性腹膜炎(FIP)を発症した多くのネコちゃんが、発症前に引っ越しや避妊・去勢手術などストレスになるようなことを経験していたり、多頭飼育で日常的にストレスがかかるような環境で飼われているケースが多いことから、ストレスによって免疫力が低下したことをきっかけになるのではないかと考えられているのです。



とはいえ、眼には見えないウイルスという相手ですから、なかなか予防と言っても有効な手だてがないのが現状ではあります。