町田市 谷口動物病院 犬猫専門の病院です
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歯周病治療 Rちゃん
2013年10月23日 (水) | 編集 |
右頬に、大きな穴があいてしまったワンちゃん。



20131-23tah--.jpg



事故?



他のワンちゃんに咬まれた??



実は、これは重度の歯周病のよる皮膚欠損であります。



8月末にご来院いただいた症例で、今年の3月に頬に穴があいて以来、何度か麻酔をかけて縫い直しているが傷がふさがってくれないとのことでした。




穴の奥に奥歯が見えてますが、歯周病がひどく、周辺の組織が膿んでしまっています。



この組織の炎症・壊死が頬の粘膜・皮膚にも広がったために、このような大きな穴があいてしまったのです。
※おそらく、初めは小さな穴だったのが、何度も縫い直しては、再び壊死を繰り返すうちにここまで大きくなったのでしょう。



壊死の原因となっている歯周病を治さないことには、どうにもならないのですが・・・



通院中の獣医さんでは、抜歯治療ができないということで、当院にいらっしゃいました。



歯周病はこの歯だけではなく、半数以上の歯に重度の歯周病があるようですが・・・



なんせ、お口がかなり痛いらしく、触ろうとすると激しく噛みついてくるので、麻酔なしでは歯周病の状況を把握することすらままなりません。




看護師に押さえてもらい、ピンセットで頬を持ち上げたり、唸って噛みつこうとする瞬間に奥を覗き込んだりと、できる限り観察し、状況把握に努めます。



その結果、やはり根本的な抜歯治療(それも、おそらく10本以上は抜かなければならない状態!)をしなければ、いくら頬を縫ったところで、この先、治癒する見込みはないと判断。




とはいうものの、ここで大きな問題が・・・



これだけの歯周病治療に、欠損した頬の形成手術となるとおそらく4時間を超える長時間の全身麻酔が予測されます。



ですが、症例の年齢は16歳。



さらには、貧血を起こす血液の病気を患っていることもあり、長時間の麻酔に耐えられるかどうか不安な状態でした。
(血液は体に酸素を運ぶ役割を担っています。貧血状態で麻酔をかけると、脳や心臓など重要な臓器に、十分な酸素を供給できなくなり、命に危険を及ぼす可能性があるのです。)




抜歯ができたとしても、麻酔から無事に回復しない可能性があります。



麻酔から回復したとしても、何らかの障害が残る可能性もあります。



それに、これだけの重度な皮膚欠損は私も初めて。



ここまで壊死が進行した皮膚が、一度の治療で完治する保障はありません。



血液の病気を患っていることや、すでに6か月にわたる長期間の炎症・壊死を考えると、傷口の修復は通常よりもかなり悪くなっているはずです。




ですが、思い切った治療をしない限りは、この頬の穴はふさがることはありません。




飼い主様も、危険があるのは十分にご理解された上で、それでも、何とかこの傷を治してあげたいというお気持ちで、手術に踏み切る決断をされました。



つづく・・・