町田市 谷口動物病院 犬猫専門の病院です
歯周病治療
2013年10月14日 (月) | 編集 |
先週おこなった歯周病治療の様子です。




右上の奥歯と犬歯の写真です。




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鼻先が下に写っています。



まだ9歳なのですが、大量の歯石で奥歯が完全に覆われてしまっています。




犬歯と奥歯の間には、本来はあと4本の歯があるはずなのですが、重度の歯槽膿漏のために、すでに抜け落ちてしまっています。



こちらは、下側の歯。



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こちらも、半分はすでに抜け落ちてしまっています。



残った歯も、ほとんどが歯石に覆われ、歯根の周囲には、ヘドロのようになった汚れが付着しています。



この歯をクリーニングすると・・・




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歯槽膿漏が酷く、歯根周辺の歯肉が壊死しています。



そのために、歯の根っこが半分くらい見えてしまった状態です。




このような重度の歯周病になってしまった歯は、クリーニングしただけではどうにもなりません。



ちゃんと、抜歯して治療する必要があります。



先日もちょっと話題にしましたが、小型犬の抜歯は、かなり大変。



特に、このように重度の歯周病の場合、アゴの骨も脆くなっており、経験の少ない獣医師が、強引に抜歯処置をおこなうと、アゴの骨を骨折させてしまう危険があるのです。



犬歯は特に注意して作業しなければなりません。



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犬歯を支える骨の一部は、鼻腔を形成する骨でもあります。




この部分の骨は非常に薄く、強引に犬歯を抜こうとすると、簡単に割れてしまいます。



犬歯を抜歯するには、周辺の歯茎の肉を切開し、骨の一部をドリルで削る必要があります。



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抜いた後には、大きな穴があきますので、切開した歯茎の肉を再び縫い合わせてやります。



ただし、今回の症例のように、歯周病が酷く、すでに歯茎の肉が壊死してしまっているような状態の場合、歯茎の肉だけでは縫い合わせることができません。



そういったときは、頬の粘膜も利用して縫合します。



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そんなこんなで、合計14本の抜歯。



残った歯は0本。



人間なら総入れ歯になることろですね。



ワンちゃんの歯は本来なら42本ございますので、28本の歯がすでに抜け落ちていた計算になります。



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奥歯は分割して抜歯しています。




小型犬は、大型犬に比べて歯が密生する傾向にあり、歯に汚れが溜まりやすく、歯周病が重度になりやすいと言われています。


中でも、トイプードルやヨークシャーテリア、ダックスフンドは特に歯周病の進行が早く、重度になりやすいように思います。




また、歯周病の進行の度合いは、食生活の影響も強く受けます。



オヤツをたくさん与えていたり、飼い主様が食事中に、ちょこちょこと食卓の物を与えてしまうようなご家庭のワンちゃんは、歯周病が重度であることが多いように感じます。



歯周病の「治療」は、我々獣医師が努力する部分ですが、「歯周病の予防」は飼い主様にしかできないこと。



食生活を整え、できる限り歯磨きをおこなっていただくことで、こういった重度の歯周病を防ぐことができます。



理想は毎食後の歯磨きですが、お仕事等されているとなかなかそうはいきませんね。



まずは、週に1回でもいいですから、歯磨きを始めてみてください。



大切なのは、まずは歯の状態を気にかけて、歯石の付き具合や歯茎の状態をみるようにしていただくことです。



汚れが多いと思ったり、臭いが気になるようなら、早め早めに獣医師にご相談くださいませ。